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第八章終了です。

こんばんは、白猫なおです。
今日で第八章終了致しました。ここまでお付き合い頂き有難うございました。そして温かい応援いつも有難うございます。皆さまの応援があっての執筆活動になっております。感謝しかありません。
前半部分がこれで終わりました。九章はセオとルイの騎士学校での話になり、十章からララの話に戻ります。楽しんで頂けたら嬉しいです。(=^・^=)

【オルガSS】

「フー……」

 ディープウッズ家のメイド長オルガは窓の外を見ながら憂い顔、裏庭の結界が気になってしょうがなかった。

 隣に立つアリナも外を見てはオルガと同じように「ハー……」とため息をついた。

 お互いに顔を見合わせ苦笑いだ。

 今、庭ではララ様がマトヴィルと武術の稽古をしている。勿論オルガの何度かの注意もあって、結界をきちんと張っての事だ。

 何度か庭や屋敷の一部を壊されて、マトヴィルをきつくしかった事が有る、それでもマトヴィルは懲りずに度々問題を起こすのだ。それもララ様と一緒に……

 見目麗しく頭の回転も良く、文句なしのお姫様に育て上げたはずのララ様なのだが、どうしてか目を離すと問題ばかりを起こす。

 ララ様本人の意図して居ない事だとは分かっているのだが……オルガは頭を抱えてしまう……

 裏ギルド襲撃、警備隊員への暴行、投獄に脱獄……聞いただけでもとても姫が行うような物ではない行動に、頭が痛くなってしまうのだ……

 蝶よ花よと小さな頃から可憐な少女になる様にと思って育てていたのだが……興味がある事にすぐ飛びつくからか、いつの間にかエレノア様よりもアラスター様そっくりになってしまったララ様に、オルガは不安を覚えていた。

「ララ様は、ご結婚相手が見つかるでしょうか……」
「一緒に行動出来るだけの殿方が見つかれば良いのですが……」

 オルガとアリナはまた顔を見合わせると「はあ……」とため息をついた。

 ララ様の見た目で言い寄ってくる男性は沢山いることは勿論分かっている……
 ただし問題はララ様に釣り合うだけの男性が見つかるかどうかなのだ……

 結界が外れると満足した様子のララ様とマトヴィル達の姿が庭に現れた。

 ララ様が助け出したクルトやベアリン達も一緒だ。
 特にベアリン達は獣人の血が入っているため、背も高く見た目も厳つい。そんな者たちに囲まれている姫に近づこうとする者など、いないのではないかとオルガは思っていた。

「ララの姉貴ー! 相変わらず強いっすね!」
「流石俺達の主っすよ!」
「本当、男らしいっす!」

 ガハハハッ! と大きな笑い声が聞こえて、オルガは頭痛がして来た。「姉貴ー」何て呼ばれていても、ララ様は嬉しそうだ。
 それに淑女であるララ様までもが大きな声を出し、ベアリン達と一緒に笑って居た。
 レディ教育のやり直しが必要かもしれないと、またため息が出て居た。

「ふむ……ララ様の稽古は終わったようですね」
「アダルヘルム、貴方も様子を見に?」
「ええ、ララ様が強くなれば愚かな輩が近づくことも減りますし、ベアリン達の見た目は良い防衛になります……フフッ……満足が行く光景ですね……」

 アダルヘルムはニヤリと笑って嬉しそうだった。
 ここにもララ様の結婚を阻止しようとする人物がいたことに、オルガは益々頭が痛くなった。愚かな輩どころか誰一人近づけなくなるのではないかと思うとララ様の事が不憫になる程だった。

 表も裏も守られて、ララ様に近づくのは命がけになりそうですわね……

 オルガはまた視線を庭に戻すと、可愛らしい笑顔を浮かべるララ様を見て、いつかこれらの事をものともしないアラスター様の様な男性が、ララ様の目の前に現れてくれることを期待するのであった……

「ふう、まだまだ長生きしなければなりませんね……」

 今日もオルガの憂いは続く……


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