(前回からの続き)
そう……以前から仏教の「四天王」が大好きで、「四天王成分充電しに行きたいわ~」とか言ってたんですが。
結論から言うとできませんでした。
近隣県の仏像をまとめた写真集を図書館で見まして。で、そのお寺の運慶作と伝わる四天王像の写真が載ってたのを見て、これだ! これを見ねば! と意気込んで行ったのですが。
残念ながら非公開……!
……ネット情報にも四天王像があるって書いてるのもあれば、全く触れられてないのもあったので、どうなのかとは思ってたんですが……。
まあ、よくあることなのです。ご本尊とか歴史ある仏像が非公開の秘仏というのは。
管理する側からすれば当然のこと、そんな由緒ある仏像を人目に触れさせるには、それなりの警備・管理の人手と予算が必要。さらに文化財保護の観点からも、千年前の木の塊を鑑賞できる環境におく(紫外線に触れさせる)なんて好ましいわけがない。
そもそも寺院は美術館ではなく、仏像は見世物ではない。あくまで信仰の場であり信仰の対象……拝観料を取って大々的に見せる方が例外的な在り方。
なので、今回は当然の仕儀。
さらに言えば、禅宗門にはこのような話が伝わっている。
——ある僧が熱心に仏像を拝んでいると、師僧が突然その仏像を、火にくべようとした。
何をするのかと問うと、師僧は言った。
「仏舎利(仏の遺骨)を取ろうと思っての」——
仏像を焼いたところでしょせん木なり粘土の塊。遺骨の出ようはずもない。
仏像はあくまで「仏」の「像」。仏をかたどったものであって、仏そのものではない。
尊いのは「本」ではなく「そこに記された物語」。尊いのは「楽譜」ではなく「そこに記された楽曲」。同じように、尊いのは「仏像」ではなく「そこに示された仏法、悟りの姿」。
孫悟空フィギュアが孫悟空本人でないように、それは別に仏ではない。(一方、奉られる仏像には必ず開眼供養といって魂を込める儀式をしたり、「仏」として扱うという側面もあるのだが)
とはいえ……写真で見るにですね。武器を振り上げた躍動感ある勇ましい四天王の像、それがですね。普通なら平面に、四方に配置されているところを! まるでひな段のように、上下に二体、それを左右二組に配置されている!
これによってまるで、猛き四天王が天地四方から襲いくるかのような! 絶妙の臨場感、迫力! それがある無二の像であったはず……!
……見たかったなあ。
まあ、車での遠出も久しぶりだったので行って良かったのです。たまには見知らぬ土地をうろうろしたいのです。天気が良かったのでバイクで出ても気持ち良かったかも。