ちょっとサボっていたので、続けざまに転載。
「My Dear」は、どちらかというと敬遠されがちな、アンハッピーエンドの恋を集めようという企画に、参加したものになります。
ただ当作は、アンハッピーではなく、メリーバッドエンドです。
ここのところ、何も書けない状態でしたので、描写のいらない文章、手紙を書く――文字にすることで、自身の気持ちが表面化していくような展開にすればいいのではないかと思い立ちました。
独白なら、会話文みたいなものかな、という安直な考えです。
設定がザルすぎですが、ふわっと流してください。
ということで、ネタバレ満載な裏話を以下からどうぞ。
愛を伝えないまま徴兵された男が、故郷で待っている婚約者の女に手紙を書く。文字に起こすことで心情を整理できて、己の気持ちが明確になる。
俺、この戦争が終わったら、彼女に直接気持ちを伝えるんだ――
というわかりやすい死亡フラグを立てて、メリバだから当然その通りになっても問題がない。むしろ、そうなって然るべき。
なんて楽しいの!(こら
ところが、ミリタリに造詣が深くない私に、重苦しい戦地が資料なしに書けるわけもなく。肉弾戦ではなく、頭脳を必要とされて徴集された人になり、近未来が舞台になり、語り手である主人公も特殊な生い立ちの人になりました。
近未来になったのは、ヒロインをアンドロイドにしたかったからです。
なぜかって、年月が経っても、それを知らずに、主をずっと待ち続けている機械人形ネタが大好きだからですよ。切ないじゃないですか。たまらん。
主人公は、もともとは普通の人間だったんですが、飛びぬけて頭がいいってことは、なんか特別なんだろうということで、遺伝子操作された、ある種「作られた」人間になりました。
人に限りなく近いけれど、機械であるヒロインと、人でありながら人為的に作られたヒーローという、歪んだカップルが誕生したわけです。
最後、奇跡的に助かって、機械の臓器で生きながらえて、半世紀ぐらい経ってから生還して、誰もいない星でふたりっきりで幸せに暮らす生存エンドも、閉じた世界っぷりが濃密で楽しいと思うのですが、「切ない」方向にいくのであれば、死亡エンドかなー、とこうなりました。
ものすごくどうでもいい情報を書いておくと、主人公の名前は「ルーク」です。
ヒロインがLなので、ヒーローはRかなって思って。
超天才児のルークくんが開発に携わって出来たのが、LUシリーズ。
働き具合を自らテストしようと、ベータ版を起動させ、その瞳と出会った瞬間、少年は恋に堕ちました。
完璧なはずのアンドロイドが、ドジっこメイドっぷりを発揮します。さすがプロトタイプ。
遺伝的なエラーを持つ少年は、プログラムミスのある彼女にシンパシーを感じました。ぞっこんラブです(死語)
人為的に作り出されたルークくんには「両親」と呼べる人が近くにおりません。作中に書いてますが、「生身の人間」と接する機会は少なく、遺伝子操作計画の関係者ぐらいだったと思われます。
単なる主従関係だけではなく、機械を相手に恋心を抱くこと自体が「おかしい」のだということを、学校に通うようになって、他の人間と会話をするなかでようやく気づくわけですが、いまさら気持ちは止められない。
他に好意を抱く異性には出会えなかったルークさんは、「どうせ俺は子供を残せないんだし、生きているかぎり知識は提供するから、好きにさせてくれ」と、愛しのLU-000こと、ルゥと引きこもり生活をはじめます。通信手段があれば、直接会わなくてもたいして問題はないわけですし。
しかし、そんな楽園生活は長くは続かず、やがて呼び出されます。戦争です。
頭脳特化型の人たちが集められた施設で、慣例に従って、遺書を書かされます。急ぎじゃないので、だらだら書いている人も多いです。
そうしてルークが肝心の一言を書こうとしたその瞬間に、施設は消えました。
舞台となった国はどちらかというと、悪側というか。環境破壊待ったなしのことを繰り返しているので、他の国家に好かれておりませんでした。例えるならば、CO2排出制限しようぜってなってるのに、うち関係ないからとばかりにガンガン毒素を垂れ流すようなゴーイングマイウェイ国家でしたので、なくなったおかげで、世界はだいぶ綺麗になりました。青空も復活。自然の緑も増えました。
ルークの言葉は花とともに、彼女に捧げられました。
めでたしめでたし。
こうやって考えると、ハッピーエンドですね。
結局のところ、私はどこかに救いを残したいのかもしれません。