クアッド!第2章、下書きでは手紙を題材にした謎解きの予定でしたが、それは次の章に繰り越します。第2章は下記を加えて題名を『ある放課後の証明』として完結します。
クアッド!第2章
https://kakuyomu.jp/works/16817139558761024700/episodes/16817330649160168501クアッド!第2章 第3話
https://kakuyomu.jp/works/16817139558761024700/episodes/16817330649521057616第3話の続き~完結
「あーッ! それオレの!」
オレは章也の机に向かって手を伸ばす。が、いくらリーチがあっても流石にふたつ向こうの机に手が届くはずがない。
章也は突然の出来事に目を白黒させている。無理もない。人間関係に不慣れな章也にとっては十分ややこしい状況だった。席が近いだけの深月にカンペがバレて、なのになぜか褒美を与えられた。しかもその褒美は本来、今できたばかりの友達がもらうことになっていたのだ。オレと深月が言い合う中、章也は百面相になり必死で適切な対処法を探している。
「証明できたらくれるって言ったじゃんか、深月のうそつきぃ」
「初瀬に教えてもらったんだろ? 俺を挟んで交信してたの視線でバレバレだっつーの」
「オレも頑張ったから救済措置ー」
「そんなものはない」
「けちぃ」
「あの、僕は大丈夫。常葉君にあげて」
章也がやっと解を見つけて口を開く。勇気をもって割って入った緊張を目の周りと頬に残している。
「しょーやんマジ天使!」
快哉を挙げるオレを深月は一瞥し、嘆息する。章也の机に置いた紙パックを再度つかみ、
「本当にいらないのか?」
と聞く。深月の残念そうな目。それはそれでプレッシャーだろう。
「ほ、ほんとに、大丈夫」
「わかった」
章也はよく耐えた。
頑張ったな、章也。
と、感心したところへ、パシッと手のひらに冷えた立方体が飛び込んでくる。
「ホラよ」
「投げてからゆーな」
やっと手に入れた飲み物を見ると、フレッシュなマスカットとグラスに注がれるティーが鮮やかにきらきら輝いていた。