• SF
  • 恋愛

短編小説『雪の朝、ふたり、はじまり。』を公開しました

 今年もよろしくお願いいたします。

 現在開催されている「カクヨムWeb小説短編賞2023」創作フェス向けの短編小説を公開しました。

 創作フェス2回目のお題は「危機一髪」ということで、多勢に無勢で追いつめられている主人公が危機を脱するとか、厄介な敵に捕まったヒロインがいよいよあぶないとか、まあそういうシチュエーションを求められているのだろうな、と思いつつ現代ドラマを書きました。書きたかったので!


雪の朝、ふたり、はじまり。
https://kakuyomu.jp/works/16818023211899093211


 現実の試験の日では、天気荒れないと良いですね。

 試験の日が雪で電車が動くかひやひやしたり、降りる駅で降りられなくなりそうだったり、というのは何気に去年から書いてみたかったネタです。

 今回のプロットは箇条書きで四行。書き始めたのは14日の夜からというタイムアタックでしたが、うんまあ……もう少し余裕を持ったスケジューリングをするべきですね。
 なんか似たようなことを過去にも書いている気がしますが、反省が足りないのでしょう。反省します。


 さて、実際書いてみると小説での描写が難しくて、漫画とかアニメでやるべきネタなんだろうな、と思いながら書いてました。
 満員電車の中で手を伸ばす、その手を取る、ってたったそれだけのことがどえらあ難しくて……はじめの1000文字くらい書くのに1時間かかり、「うわっ、ペース遅すぎ。ダメかも……」なんてぼやきながら書いてました。いやはや完成して良かった。

 出だしで苦戦したのは描写が難しい状況を選んだからだけじゃなくて、結実花というちょっと変わった子を主人公に据えたこともありました。
 小説の主人公は——その作品が文芸寄りであればあるほど——内省的な人物の方が書きやすいと思います(思ってます)。作者があれこれ気を回さなくても、勝手にあっちこっち観察したり、あれこれ思いを巡らせてくれるので、内省的な人物の方が書くことに困らないのです。思考が文章化されやすいというか、文章で考えてくれるタイプの人間だから、とも言えますね。
 こういうタイプのキャラクターは本人の思考と地の文をすり合わせやすく、一人称にしても三人称にしてもあんまり困りません。ちなみに、未希がこっちのタイプです。
 ところが、結実花のように思ったことがすぐ言葉に出るようなキャラクターで三人称をやると、()でくくったぶつ切りのモノローグが連発されるので地の文のリズムを保つのにどえらい苦労をすることになります(なりました)。
 いっそ割り切ってぶつ切りモノローグを連発させる手もあるんですが、今回は少ししっとりとした雰囲気を保ちたかったので選べなかったのでした。

 あと、キャラクター及びキャラ名の使い回しは基本禁じ手としているのですが(続けて読んでくださる貴重な読者様が混乱するので)、あの終末SFには未来がないため二人にはパラレルワールドへ転生してもらいました。


あの終末SF↓
https://kakuyomu.jp/my/works/16817330663594351364


 今作で百合タグを付けなかったのは、二人の関係がそこまで深まっていないのと百合と括ってしまうことでドラマの幅が狭まってしまう気がしたからです。
 また、私自身が「端から見たらどう見ても付き合っているような間柄なのに、本人達は自分達の関係に名前を付けることに無頓着」という関係性を好んでいることもあって、百合タグを使うか使わないかで悩むシーンが結構あります。

 最後に言い訳すると、締切1日前の夜に書き始めたので案の定時間が足りなくて、前半でお題の「危機一髪」を出したので後半にどんでん返しを仕込みたかったのですが間に合わず現在の形になりました。
 ですが、いま見るとこのネタでやるにはこの構成がしっくりくる気もします。

 あ、本文付きレビューもいただきました! ありがとうございます。

 じつは「キラキラ」感はあんまり意識していなかったりします。既存のキャラクターを使っているので、結実花と未希をしっかり描くことだけ考えて書いていました。
 それから、冬寂さんに「リアリティと透明感を評価されているので、そこを伸ばすことを考えると良いですよ」とアドバイスを頂いて、その二つが揃っている自分の作品を思い返しつつトーンが統一されるように意識して書いていました。
 だんだん掴めてきた気がします。ありがとうございます。

 いっぽう本文の後に付けるあとがきみたいな近況ノートを書くのには、いまだに慣れません。
 あれこれ迷いながら書いています。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する