タソは1人の兵士として、任務を全うしていた。タソは最前線に突入し、仲間に無線で連絡する。
「こちらタソ。北東の遮蔽物に敵2人を確認」
《了解。すぐに応援に向かう》
タソは音を立てないように、中央の建物(元工場でかなり大きい)の壁沿いから、敵の動きを見張った。
すると、敵2人が建物に向かって飛び出してきた。
「出てきた! 応戦する!」
タソは冷静に敵をスコープ内に収め、中央の赤いドットに敵の上半身を合わせた。
ズダダダダダダダ!
ガスで駆動する射撃装置の金属音と共に、6ミリBB弾が何発も発射された。
「うわっ! ヒットーーー!」
タソに気づいていなかった1人の敵が、弾に当たったことを宣言し、銃を上にあげてフィールドから退場する。
それと同時に、もう1人の敵がタソに向かって射撃を開始した。
奴はそのまま建物内に侵入し、タソのチームが守らなければならないフラッグに接近する。
「1人中に入った!」
《見えた。仕留める》
タソは敵の背後を狙って建物入り口に張り付いた。
中からは、激しい銃撃戦の音が響いてくる。
タソは気付いていなかった。
もう1人、タソに気付いて静かに狙いを定めるスナイパーがいたことに。
パシィッ!
タソの右胸に微弱な衝撃が走る。
タソは撃たれたのだと、すぐに理解した。
「ぶふっ! ぐぶぶぶ!」
タソはリアルを追求しているので、後ろに吹き飛んで尻もちをつき、苦しそうにもがきながら死んでいった。
普通は「ヒット!」と宣言して、退場するのだが、リアル志向のタソはその場で死体に徹した。
《わははは! タソさんやりすぎ!》
《タソが撃たれた! 衛生兵を呼べ!》
《奴はもう助からん。仇を取るぞ》
サバイバルゲーム。知ってる?
タソは小さい頃から銃が好きで、誕生日プレゼントにオモチャの銃をねだったこともありました。
大人になって、少し経済的に余裕ができた頃、タソは何か趣味を持とうと、本格的なサバイバルゲームを始めることにしました。
奥さんには内緒で何万円もする長い銃を購入したり、セカンダリと言って、別に持っていなくてもいいハンドガンを追加で購入したり。
散財って、脳内麻薬が出まくるんですね。
気がつけば迷彩服なんかも買ったりして、合計したら軽く10万円は超えていました。
でも、その分楽しくて、名前も知らないサバゲー仲間とニックネームで呼び合ったり、一緒にお昼ご飯食べて仲良くなったり、お金じゃ買えない価値が山ほどありました。
たまに女性ゲーマーもいたりして、夏だったんだけど、水着まで持ってきてビニールプールに入ったり、それを正座して拝むエロいメンバーがいたり、楽しかったなあ。
タソはその頃、仕事の幅が広がって、とてもじゃないけど、遊んでる余裕なんてなくなってしまいました。
気がつけばゲームに参加する回数も減ってしまって、休日はただただ寝ていたいと、疲弊してしまったのです。
いま思えば、仕事のしすぎでした。
しばらくして、またお金が溜まってきた頃、タソはマウンテンバイクを購入しました。
本当はオートバイが欲しかったんだけど、弟が事故で亡くなったこともあって、自転車なら自分でも納得できるかなーと思って、プロテクターとかヘルメットとかと一緒に購入したのです。
車輪を外して、セダン型の後部座席に無理やりマウンテンバイクを車載し、長野のスキー場へ向かいました。
そこは夏場はマウンテンバイクをゴンドラに乗せて、頂上から山下り、すなわちダウンヒルを楽しめる遊び場だったのです。
途中のジャンプ台で飛んでみたり、急勾配を高速で駆け抜けたり、何回も何回も、ゴンドラで登ってはダウンヒルを楽しみました。
ふふふ、実はこの頃、ヘルメットにカメラを取り付けて、撮影してはニコニコ動画に投稿してたのだ。
ニコニコ、見られなくなっちゃったんだね。
昨日知りました。
復旧したら、また見られるかなあ。
そんなタソは、マウンテンバイクがポロポロになるまで色んなところにお出かけして、かなりアウトドアな感じでした。
自転車でも立派な二輪車なので、オートバイの練習も兼ねてウィリーとかやってたなあ。
いま思えば、あの頃は心も体もエネルギッシュで、躁状態とも言えそうな活発さでした。
あの頃に戻れたら。
そう思うことが最近多くて。
つい、昔話をしてしまう。
タソは永遠の9歳児ですぅ!
初老じゃないですぅ!
たまに赤ちゃんにもなる若々しさなんですぅ!
若々しさを保つために、また小説を書こう。
今のところ、何かを執筆してる時間が1番楽しい。
お金も掛からなくて、時間がたくさんあるタソには持ってこいの趣味です。
もう少し、プライベートが安定したら、執筆を再開するんだ。
また、頑張ろう。
もう少し、休憩してからね。