タソのおうちはリビングが吹き抜けです。
吹き抜け部分には、2階の長男の部屋が面していて、長男の部屋からは、リビングが見下ろせるような内窓が付いています。
普段は内窓は閉めているのですが、今日は開けていたようで、そこから白猫のひーちゃんが落下してきました。
この子はおてんばで、タソにはあまり懐いていないのですが、どうしても長男の部屋に入りたがるようで、いつも彼の部屋の扉の前でにゃーにゃー言っています。
長男は絶賛引きこもり中。
たまにトイレや食事を取りに部屋から出てきますが、ひーちゃんはその隙を狙って彼の部屋に侵入します。
「うひひ。あたし知ってるにゃ。こいつは何年もこの部屋を警備してるにゃ。きっとお宝が隠されているに違いないにゃ」
ひーちゃんは有りもしないお宝を探して、内窓からリビングを覗き込みました。
「ここはいつもは閉まってるにゃ。ほえー、下にはタソがいるにゃ。話しかけてみるにゃ。にゃー、にゃーん」
「こらこら、ひーちゃん、落ちたら大変だから戻りなよ」
と、その時。
カリカリ!
間抜けな姿勢で足を滑らせたひーちゃんは、お尻からずり落ちる形でリビングにダイブしました。
「ぎにゃーーー!」
「あ! それ見たことか!」
スターーーン!
ひーちゃんは間抜けな体勢でしたが、猫の意地により見事に四つ足で着地しました。
「すーん。こんな時は何事もなかったように澄まし顔にゃ。すーん」
「いや、お前いつもより目が大きくなってるから」
「ぎくり」
ひーちゃんは足に怪我をした様子もなく、すたすたとダイニングの方へ歩いて行きました。
ひーちゃんはね、トイレが出来ない子なんだ。
いつからだったか、トイレで用を足せなくなって、リビングとか廊下とか、どこでもうんぴするようになっちゃったの。
だからタソのおうちは、気がつくとうんぴが転がっています。
おぴっこはちゃんとトイレでするんです。
タソは原因を知りたくて、ひーちゃんをしばらく観察していました。
すると、うんぴの瞬間を目撃することができて、叱ろうとしたら、ひーちゃんの直腸が2センチぐらい飛び出しているのを発見しました。
「大変! ひーちゃん、腸が出てる!」
「そんにゃの。こわいの。うんぴこわいの。あたし死んじゃうのかにゃ……」
速攻で病院です。
幸い、ケージに入れた時には直腸は引っ込んでいて、病院の先生にも、出たままでなければ大丈夫と言われました。
その後もよく観察して、腸が出ちゃう時と、そうでない時があることが判明しました。
でも、やっぱり怖いみたいで、うんぴの後は凄い勢いで逃げるように走り去ります。
ドタバタドタバタ!
「うんぴこわいにゃ! 大変にゃ! 死んじゃうにゃ!」
今日もひーちゃんはドタバタドタバタ。
一応、ご飯はちゃんと食べていて、うんぴの質も健康そうに見えるから、また直腸が出ちゃったら病院に連れて行こうと思います。
今日は雨ときどき猫の日。
明日はお金でも降ってこないかなあ。