今日は書きたいことがまとまらない。
猫の話にしようか、日記にしようか。
夢の話にしようか、現実にしようか。
まとまらない。
ごちゃごちゃする。
雑音みたいに、話の腰が折れる。
先生、これは統合失調症じゃないでしょうか。
それとも、ただの鬱なのかな。
アニメ見てても楽しくない。
楽しみってなんだっけ。
タソの楽しみは、来世がこうだったらいいなあって想像すること。
今日は総資産14京円の大富豪だったんだ。
間違いなく世界一だね。
ロスチャイルドもびっくりだよ。
でもさ、そんな資産をどうやって獲得したのか、リアルに考えなきゃだよ。
せっかく楽しみな来世なんだから、あり得るステータスにしなきゃ。
この金額だと、世界中で何かビジネスをしてるね。
投資とかも併せてやったとしても、かなり厳しい金額だと思う。
先進国全てで銀行やら不動産やら、なんなら油田もガス田も何もかも持ってるぐらいじゃないと、そんな金額にはならないね。
タソは考えた。
次世代のビジネスが必要不可欠であると。
しかも、それは全人類が欲しがるモノで、多少高額でも、継続的に欲しくなる消費型の商品でなければならない。
電気、ガス、石油。
これらに代わる新しいエネルギー。
それこそが巨万の富を産むのだ。
来世のタソは、遂に完成させた。
『ホワイトマター・リソース』を。
これはダークマターと表裏一体の明白物質から取り出したエネルギーであり、タソしか知らないホワイトホールから溢れ出る、次世代の燃料である。
ガソリンや軽油とも互換性があり、既存の自動車に使用することができる。
しかも、排気ガスが出ない謎の性質を持ち、火力発電に使用しても二酸化炭素が排出されない。
再生可能エネルギーであり、ブラックホールが存在する限り、そこに有り続ける。
専用のエンジンを使用することで永久機関となり、大型、小型を問わず、あらゆる動力として利用できる。
世界は一気にホワイトマターに食いついた。
自動車からは排気管がなくなり、各家庭には小型のホワイトマター発電機が設置され、街からは電線や電柱がなくなり、ガソリンスタンドはホワイトマタースタンドに置き換わった。
タソはホワイトマターの極大なエネルギーに着目し、これを爆裂させる兵器を作り出した。
全く汚染されないニュークリアボムは、水素爆弾の数万倍の威力を示し、次々と先進国が購入に踏み切った。
今や、アフリカの原住民でさえも、ホワイトマター発電機を所有している。
タソはホワイトマターの新たな特性を発見した。
それは、アレやコレやなんやかんやすると、極めて硬く、且つ軽量で、しなやかな金属になるのだ。
ホワイトマタリウムと名付けられた新たな物質は、建物の建材から、自動車部品、宇宙船の材料にまで利用され、ホワイトマタリウム製品が次々と産み出された。
超大容量の蓄電池としても利用可能なホワイトマタリウムは、あらゆる発電施設の2次バッテリーとなり、人類は数千年分の電気を蓄電することに成功した。
また、ホワイトマタリウムは、食べると美味しいことも判明した。
その栄養価は高く、スーパーフードとして世界中が注目した。
溶かしてジュースにしても美味しい。
こうして、タソは総資産14京円を突破した。
タソが札束のベッドでスヤスヤと眠っていると、Jアラートが鳴り響いた。
北〇鮮がホワイトマターボムミサイルを発射したのだ。
彼らの『実験』は失敗し、上空8000メートルでミサイルは爆裂。
その威力は凄まじく、朝鮮半島や日本列島、中国本土の20パーセントまでもがクレーターと化した。
その勢いはとどまることなく地殻津波と化し、中国は壊滅、ロシアの東半分が溶岩の海に沈んだ。
世界は溶岩の雨に降られ、各地で天変地異が起こった。
世界の人口の80パーセントが消失し、唯一、巨大津波の被害だけで済んだブラジル近隣諸国は、残された僅かな建物に避難し、野生動物を狩って生活することを余儀なくされた。
こうなる事を読んでいたタソは、月に建設していたホワイトマター基地に避難していた。
ひとりでは寂しいので、執事やメイド、動物たちも一緒である。
タソは基地から見える地球の噴火が、まるで花火のようで美しいと思った。
タソは知らなかった。
ミサイルの爆裂により、地球の磁場や遠心力が狂い、月が少しずつ地球に落ちていることを。
タソは、今日も使えもしない札束をベッドに敷いて眠る。
今日よりも明日、明日よりも明後日、時間と共に自由落下のスピードが早くなるとも知らずに。
お金持ちも、やり過ぎるとダメだなあ。
5億円ぐらいが現実的で、アレ買おうコレ買おうって気になるのかもね。
次のタソは上手くやってくれるでしょう。
ふふふ。