今日は大事な話があって、水戸の年金事務所に障害年金の相談をしに行きました。
タソは生活が困窮しているので、月5万円でもお金がもらえるなら、助けて欲しいのです。
その事をかかりつけの病院に相談したら、どうやらタソは障害年金を受け取れる資格があるそうです。
適応障害では「気分障害」に該当して、障害年金はもらえませんが、「双極性障害」なら、とりあえず申請することはできるそう。
でも、先生には「申請しても、もらえる可能性は低い」と言われました。
これはタソの挑戦。
少しでも、もらえる可能性があるなら、やってみるんだ。
まず、障害年金の申請に当たって最重要と言われているのが、「初診日」の特定。
タソはこれを舐めていて、
「いや、この病院に最初に来た日でしょ?」
と思っていました。
ですが、いまかかっている大きな病院は慣れていて、タソに「この病院に来る前に、精神科や心療内科を受診しませんでしたか?」と聞いてきました。
タソはここで重大なミスを犯します。
「あー、28歳の頃、もう15年前だけど、一回だけどっかのメンタルクリニックに行って、診断書をもらったことがありますね」
これが事態をややこしくしました。
「そしたら、その病院に行った記録を入手してください。それが『初診日』になります」
15年以上も昔の話で、病院の名前すら覚えていないし、薬も処方されてないから何も記録がない。
タソは
・水戸市内
・〇〇クリニックという名称
これだけを頼りに調べまくりました。
数件ヒットした病院に手当たり次第、電話したのですが、どこにもタソが通院した記録はありませんでした。
そのことを、いま通っている病院に相談すると、保健所に廃業になった病院がないか問い合わせしろとのこと。
そこまでするの?
どうやら、それほど「初診日」は重要なんだそうです。
タソは保健所に問い合わせしました。
すると、Nクリニックという名前に、うっすら聞き覚えがありました。
そのNというのが院長の名前で、なんとなく、その名前のハンコに見覚えがあったのです。
タソは、当時勤めていた会社で疲れ果ててしまって、何日か休みをもらうために、メンタルクリニックで診断書をもらったのですが、その診断書に押されていたハンコが、たしかN。だったような。
でも、もう廃業してしまっていて、電話も通じず、なんと現地も見に行ったのですが、住宅地になってしまっていて、跡形もありませんでした。
タソは視点を変えて、当時勤めていた会社に、提出した診断書が残っていないか電話しました。
結果は空振り。
もう辞めて何年も経ちます。
個人情報は全て破棄したとのこと。
困り果てたタソは、何かできることがないか、年金事務所に直接相談に行きました。
すると、相談員さんは親切なおじさんで、次の事を提案してくれました。
・受診状況等証明書が添付できない申立書を提出する。
・第三者証明
・状況証明
これらの書類のうち、最初の「受診状況等証明書が添付できない申立書」については、添付できる書類がないと、申請は却下されると教えてくれました。
「え? 添付できる書類がないからこれを提出するんじゃないんですか?」
「いや、そうなんだけど、添付書類なしで申請が通った話は聞いた事ないね」
まじか。
いったい、何のための申立書なんだ。
そして、2番目以降の書類についても、相談員さんは親切丁寧に説明してくれたのですが、結論としては、「病院の名称と、そこに通院した物的証拠がないとダメ」とのことでした。
泣きそうなタソに、相談員さんは独り言を始めました。
「んー、まあ、あとは、この病院が初診ってことで押し通せばいいんじゃないの? 我々は書類しか見てないからさ、この病院が初めてですって言われたらそのまま処理するけどね」
タソには「記憶違いで押し通せ」と聞こえました。
そのタソの脳内を読んだのか、相談員さんは、こう付け加えました。
「でも、それにはいま通ってる病院と仲良くないとダメだよ? 診断書書いてくれる先生の協力がないと、これは通用しない」
つまり、15年前には何もなかったことにして、いま通っている病院を「初診」として押し通せるように、先生にも15年前のことは一切触れないようにしてもらうという作戦です。
一度言ってしまった15年前の通院。
これを「記憶違い」として、いまの病院に納得してもらう必要があります。
あ、俺、15年前に受診なんてしてなかったわ。
建物には入ったけど、受付で診断書発行に5000円掛かるって言われて、「じゃあいいです」って言って帰ってきたんだった。
思い出したわ。
診断書なんてもらってねーわ。
タソは悪い子なんだ。
嘘をつくときは、限界まで本当の事を言って、確信的な「ひとつだけの嘘」をつくんだ。
病院には行きました。
何病院だったか覚えていません。
診断書なんてもらっていません!
これで押し通す。