日本時間2020年8月3日、国際宇宙ステーションからカプセル型宇宙船クルードラゴンが地球帰還を果たした。
歴史的な、新型宇宙船による有人ミッションの成功。
しかも民間のスペースX社。おめでとう!
コロナで陰鬱な地上に、久々の明るいニュースだった。
興味深いのはクルードラゴンのキャビン。
アナログ感満載のソユーズに比べて、すっかりグラスコクピット化され、
株屋さんのトレーダー席みたいなごく普通のディスプレイと、化粧台程度の操作卓。
ほかは白一色の壁と梁だけのような。なんだか殺風景なインテリア。
船内宇宙服もごくシンプル、ヘルメットもいかにもプラモっぽくて、
ハーネスなんかクルマのシートベルトより粗末に見える……
つまり、二十世紀のB級SF映画で見た光景とそっくりな感じで、
“あり物で作った、お金をかけてないセット”なのだ。
こうなると、たとえば昔の超大作映画『さよならジュピター』の
宇宙船インテリアのセットの方が複雑で、かえってリアル感を帯びてくる。
パソコンがどでかいスーツケースサイズで、もちろんケータイもない二十二世紀なんだけど、いかにも昭和な宇宙観が、そこはそれで楽しいのだ。
TOKYO-3では無重量のコクピットに、スペースマクド?とスペースコーク?が浮かび、パイロットが薄っぺらなハンバーガーを美味そうにほおばる場面がある。
無重量のコクピットで炭酸飲料、お腹に大丈夫か? (マジに✖らしい)と心配してしまうが、たぶん実際は、“コーラ味の飴玉”を液化したようなニッキ風味の無炭酸飲料なのだろう。
にしても、宇宙旅行が日常風景に近づくにつれて……
その視覚的イメージが、二十世紀のSF映画のチープさにかえって近づいてくるようで、面白い。
比較的近年のSF映画でも、火星に芋畑を作って、独りで“あつまれどうぶつの森”するみたいなヒット作もあったよね。
スペースオペラが、凄くなくなっていく。
どれほど派手なドンパチ映像でも、CGだから全然驚かず、たいして記憶に残らないのだ。
むしろこれからは、リアル“宇宙家族ロビンソン”(テレビの方だよ)の路線が
当たりなのかもしれない……