「ゲームばかりやってないでマンガでも良いから本を読みなさい」って親から言われ続けた俺達ファミコン世代が子供を持つようになったら、我が子に
「ソシャゲばっかりやってないできちんとしたゲームをやりなさい」とか
「ゲーム実況動画ばかり見てないで自力でゲームしなさい」って言うようになった。
そのゲーム世代に「マンガでも良いから本を読め」と言ってきた親が子供だった頃は
「マンガばかり読んでないで小説を読め」って彼らの親から言われ続けて、マンガが子供の成長に悪影響を与えると確信していた彼らの親たちは、
「悪書追放運動」とか言ってマンガを焼くパフォーマンスをするまでマンガを憎悪していた。
さらにその世代の親が子供だった頃は、彼らの親から
「小説だなんて読んでないで漢文を読め」と言われて当時の小説家、現在の文豪がやり玉に挙げられていた時期もあった。
どうやら日本人はこの悲劇の連鎖を止める術がないそうだ。
日本だけじゃない、アメリカだってそうだ。
アメリカでは100年ほど前に「子供たちはラジオばかり聞いて外で遊ぼうともしない」って言いだして、親が「子供の教育に悪影響を与える番組を流すな」とラジオ番組に抗議したそうだ。
そのラジオばかり聞いていた子供世代が親になったら「子供たちはテレビばかり見ている」と苦言を言い出して「テレビ局に」抗議するようになった。
現在の親も「子供たちはネットばかりしてて(以下略)」と思ってるそうなので、アメリカ人もこの連鎖を止められないようだ。
多分あと数年してソシャゲ世代の人たちが親になったら我が子に
「AIで遊ぶんじゃなくてソシャゲでガチャを回しなさい」とか
「AIよりもYouTuberという人の手で作られた動画を見なさい」等と言い出すだろう。
そうやって親から散々AIを拒絶された子供たちが親になると、その子供がその時夢中な物に苦言を言って
「そんなものやってないでAIと遊びなさい」と言うだろう。
この悲劇の連鎖は人類には止められない物なのだろうか……。
俺達ファミコン世代は「ファミコンをやって犯罪に走るやつはそいつが元々悪い奴なだけであってファミコンが悪いわけじゃない」って言ってる口と「寸分たがわず完全に同じ口」で
「ソシャゲで破産する人が1人でもいるなら禁止すべきだ」って言っちゃうんだよ。
ソシャゲ世代は「破産するまでガチャ回す奴がバカなだけでソシャゲが悪いわけじゃない」ってきっと思ってるんだよ。
「でも」その言葉が信じられないし「ふ」に落ちない。ファミコン世代にとってソシャゲ世代はそれこそ法で規制でもしない限り「必ず」「全員」ガチャ破産すると信じ切っていて、そこがもう人間の限界なんだろう。
おそらくファミコン世代の親は「マンガを読んで犯罪に走る人が悪いのであってマンガ自体は悪くない」って言っておきながら
「ファミコンを遊んで犯罪に走る人が1人でも出たら排除しないと」って同じ口から出すだろうし、
その世代の親も「小説を読んで犯罪に走る人が悪いのであって小説自体は悪くない」って言っておきながら
「マンガを読んで犯罪に走る人が1人でも出たら排除しないと」って言って焼却処分したし、その親も(以下省略)なんだろう。
人間、俺含めていつまでも同じ場所をグルグル回ってるだけで全然進歩しない。いつになったら人類はこの呪縛から自由になれるのだろうか。
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