どうも。海です。
タイトルの通り、『Home』のあとがきのようなものを書こうかなと思います。
こちらも『Another day comes』と『salt in the sugar』同様に2024年6月15日(土)までの期間限定公開となります。
何を書こう何を書こうと考えていたら、公開日になっておりました。
『Home』お楽しみいただけましたでしょうか。
『Another day comes』にも出てきた桜の姉、杏のお話です。
『Home』は『Another day comes』を書いた年度の3月に書いた物になりますので、自分の中では最初と最後を二人の物語で締められたことがとても嬉しかった記憶があります。
ちなみにこの年に、本作に出てきた高城あずさが登場する『銀色の残響』と、彼女の両親の話である『紅い記憶』も書いています。
個人的にですが、『Home』は自分がその当時書いていた物語の、総まとめみたいな立ち位置の作品でした。
実はこの作品、元々は書くつもりはありませんでした。
それでも一年の締めくくりに何を書こうと考えたとき、一番最初に浮かんできたのは『Another day comes』の桜、ではなくその姉である杏の姿でした。
家族が大切で、でも、どうしていいか分からない。自分が両親を殺してしまったんじゃないかと後悔の念に苛まれ続けた彼女。
そんな彼女がどんな思いで墓参りの日を迎えたのだろうとは、『Another day comes』を書き上げてからずっと考えていたことです。
それから、なんとなく杏とあずさは仲が良い気がすると思い立ったとき、この物語は動き出しました。
もしよろしければ、『Home』を読んだ後に、もう一度だけ『Another day comes』を読んでみてください。そしたら、墓の前で涙を流した杏の気持ちの輪郭が見えてくると思います。
『Another day comes』、『salt in the sugar』、そして『Home』の三作品の最初には、この物語に合うと思った言葉を載せています。
これは当時の自分が、桜の物語は続いているというのを、登場人物以外からも楽しんで欲しいと考えたからでした。
少しかっこつけているなと思いながらも、こうして読み直しているとあってよかったナァと思ってしまいます。
『Home』というタイトルについても少しだけ触れておきます。
実はこのタイトルも『Another day comes』と同じアーティストであるPay money To my Painの楽曲から拝借しております。
ずつと自分の弱さが自分の名前を呼び、強くなったと信じている自分を、元の弱い自分に戻そうとする。でも、昔の自分には戻りたくないんだ。そう叫ぶこの楽曲は、まるで杏のようだと思ったことと、家族についての物語ということで『Home』としました。
杏はある意味被害者なのだと、こうして読み返していて思いました。
それでも、彼女なりに自分の中の気持ちと折り合いをつけ、たった一人の妹を宝物のように思いながら、苦しみながらも前に進んでいく。
そこに報われたいという思いもなく、そんな風に生きていける杏はなんて強い人だろうと、作者であるはずなのにそんなことを考えてしまいました。
それでも、そのことに気がつけたのは、今こうしてこの作品を再公開できたおかげです。
再公開する勇気をくれてありがとうございます。もう一度、大切な彼女たちと話す時間をくれてありがとうございます。
もう二度と会うことはないだろうと思っていた彼女たちに向き合う勇気が出たのは、他でもない「アナタ」のおかげです。どうもありがとう。
さて、『Home』をもう読んでくれた「アナタ」も、これから読んでくださる「アナタ」も。
この作品を愛してくれるのなら、作者の私はもちろん、杏とあずさ、それから桜。あぁそうでした、気怠げなあの先生もいましたね。みんなきっと喜んでくれると思います。
これからもどうぞよろしく。
海
作品URL:
https://kakuyomu.jp/works/16818093078073065692