※異世界ファンタジー小説『ブランク・マスター』(著:マサキチ)の感想。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882013628↑『ブランク・マスター』へのリンク
結構はじめの方から読んでたのですが、先日第一部的な辺りが完結されたということなので感想。
ユーザーフォローされてるのでひょっとしたら作者さんに見つかるかもしれない。もし見つけちゃってもスルーして大丈夫ですので(予防線
あらすじは、呪いと宿業を背負った超一流魔術師が自らの目的を果たす鍵となる人物と出会いを果たす物語。二人は同じ事件で共に大事な人を失っており、それを取り戻すために戦いへ身を投じていく――という感じ。
まず設定が素晴らしい。
この世界に出てくる魔術師は本を使い、そこに描かれている精霊の力を借りて戦います。RPGゲーム的には召喚師的なイメージかな。
本を使う魔術師、召喚師、はありふれています。
しかし、そこで絵師に着眼したものはありそうでなかったのではないでしょうか。
更に、普通はこういう風に描かれる精霊を彼はこう描く、という描写があったり。優秀な絵師は引っ張りだこで色んな組織に狙われたり、とリアリティがある。
その絵師は現実世界の芸術家みたいに狂気を孕んでいたり、浮世離れしたりもしている。人物の性格も、いかにも芸術家っぽくて好感触。
絵師、本を操るブックマスター、そして白紙の本を持つブランクマスター。設定が完全に生きています。これはすごい。
良い設定とは、かっこよくて意外性があって絵になる、なんて程度のものではないと思っています。
世界観に根差した設定、それこそが良い設定というものです。
そしてその設定が世界観に「それっぽさ」と広がり、深みを持たせている。本当に素晴らしい。
個人的に気になったところをあえて挙げるとすれば、話の起伏でしょうか。
この作品は約15万文字の全63話で、一話が平均で約2500文字です。ネット小説としては適切な長さだと思いますが、その2500文字がわりと平坦な気がしました。起承転結を一話ずつにわけたような印象。
あと物語の最初(零章)が過去話から始まるので、この話の主人公は誰なんだろう、と読み進めるまで戸惑ったかもしれません。
ただ更新が早く、文章も読みやすいのでそれほど気にはならないかなと思います。重箱の隅をつつくなら、というレベルの話。
物語はまだ半ば、鍵となる人物達の出会いの話です。ここからどうなるのか非常に気になります。
たぶん次の話が始まり次第、作品をフォローしに行くと思います。超オススメ。