※ファンタジー小説『グリティハーツ』(著:水谷 悠歩)の感想。
個人の感想であり、批評でも評論でもありません。
いよいよもって誰のために書いているのかわからなくなってきた感想です。
読んだ感想をアウトプットすること、整理することに意義があるのだと信じたい。
和風がウリのファンタジーで、ごくオーソドックスな冒険譚です。と、簡単に言ってしまっていいのかと気がひけるほどのハイクオリティ。
あらすじはシンプルなので、くどくど紹介はしません。とにかく読んでほしいと言わせていただく。
まず序盤を読んですぐにわかるのが、桁違いの文章力・語彙力でしょう。簡潔かつ小気味良い文体で、それでいて比喩表現も非常に豊か。
付録として、序盤と山場を古語調にした(作中では原文という扱い)エピソードが投稿されていて、これもまたすごい。
作者さんはかなり真剣に文章を修められたのでしょう。小説の書き方を参考にするためだけに読む価値すらあります。
さて、では内容に触れますが、まず最初に、私はミステリーなどを読まず、かなり偏った好みをしていることをご了承ください。
前置きをすればなにを言ってもいいと思ってるわけではないですが、正直、やや退屈な作品でした。
端的にいうなら登場人物にいまいち魅力がない。当然、萌えがないとかいうことではありません。
それまでの生活と人生を投げ打つだけの理由があったか? なぜ自らの命を危険に晒してまで困難に立ち向かうのか? 一緒に困難を乗り越えたはいいものの、そんなに仲が深まるような出来事があったか?
と、キャラクターの言動や感情の機微に疑問を覚えることばかりで、あまり没入できませんでした。
読んでいて思ったのは、キャラクター達の歯車感です。これといった見せ場があまりなく、危機を脱するときは後出しじゃんけんのような呆気なさ。(ここでちょっと親密になる)ってプロットなんだろうなぁなんて冷めた読み方をしてしまいました。
あと、実は異術でワープできたんじゃよ、というのは歯に衣着せずに申し上げて、本気で白けた。
これがミステリーなどをまったく読まない私の好みによるものなのか、はてまた違うのはわかりませんが、感想としてはそんなところ。
私見ですが、ストーリーラインに沿って登場人物達を動かすのがうまくいってないんじゃないかと思いました。よく「キャラクターが勝手に動くんですぅ~」とかのたまうアホがいますが、その逆なのではないかと。
あとこれは完全に言いがかりですが、ここまで和風を押し出すなら固有名詞もそっちに合わせた方がよかったのでは。タイトルもミスマッチな印象です。
これまでになくマイナスなことばかり書き連ねた感想になってしまいました。読破したのが結構前のことなので見当はずれのことを書いている可能性もあります。
(小説画面を開くたびにPVが増えてしまうので読み返しにくいのがカクヨムの最大の欠点の一つだと思ってます)
ただストーリーと文章は満点の完成度だと自信を持って進められるので、ぜひもっと先へ先へと突き進んでほしい。
そして最後に、こんなクソみたいな感想書いて何様なんだこいつ……と自己突っ込みして終わります。