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『漂流』感想

※現代ドラマ小説『漂流』(著:五月紫音)の感想。
 ネタバレありなので、読んでいない人は絶対に見ないこと。









 重い! 重いよ! と悲鳴を上げながら読みました。でも途中で目を逸らすことが許されない引力がある。
 作者さんの半生がモデルになっていることで、エッセイ・ノンフィクションあたりのジャンルでも戦えたのではないかと思います。もっとも、そちらはコンテスト対象外ですけどね。
 Web小説にしてはテンポのゆっくりとした作品ですが、そもそもドラマとはそういうものだと思います。カクヨムは少しはましだと期待していましたが、そもそも読者がラノベに毒されすぎている。私はそこを欠点や短所とすべきではないと思いました。
 比較的に苦労も知らず順風満帆で軽い人生を送っている(自称)自分からすれば、この小説にはあまりにも重い。親兄弟への向き合い方、仕事への姿勢、過去と心との折り合いの付け方など、つい逃げてしまうところに弱者の人生を通して鮮烈な光を当てる鋭い作品でした。
 小説として見るなら、他にレビューを書かれている方も仰るとおり起伏に欠けるというところがあるかもしれません。ひたすら沈み込んでいくという意味で。というかこの小説の出来事を軽いと言い放つかの方はどんな小説を普段読んでるんだろう……。
 月に一度の帰省をするというささやかな親孝行を体調不良で怠ってしまったところに読んだということもあり、胸の奥に突き刺さるものがありました。いつかこんな小説を書けるようになりたい、そう強く感じました。

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