ハヤカワミステリー文庫、サイモン・スカロウ著、北野寿美枝訳、「ベルリンに堕ちる闇」を読了。
以前にも戦中戦後のベルリンを舞台にした小説を読んだ事があるが、そこには一種独特な世界が描かれる。
日本の戦中戦後とは異質な狂気の支配する世界ではある。
しかし両者に共通する要素もある。
後書きに記された“特権的な状態”がそれにあたる。
特権的な状態とは、法律を軽んじ、特権及び特権の行使に賛成する人たちの前に立ち塞がる如何なる常識をも拒絶すること、とある。
特権を持つ人々とはドイツではNazis、日本では軍や大政翼賛会などがそれに当たるのだろう。
世界を眺めれば、決して過去の愚かしい出来事とは思えないのが恐ろしい。