第188話「白い風」を投稿いたしました。
過酷な旅を続ける中で、出てしまった犠牲者に心からの追悼を捧げるカルナリア。
カラントのやり方でのお祈りはフィンにはできませんから、グライル越えどころか、王宮からの逃避行が始まって以来初めて、「本当に」自分にしかできないことが目の前に。そりゃのめりこんでしまうのも仕方ないというものです。
そしてセルイが慌てたのは、モンリークにカルナリアの正体がばれることではなく、それによりバルカニア人や案内人たちに真の素性を知られてしまうことでした。モンリークひとりだけならどうにでもできますが、他の者たちに知られてしまうと色々まずい。セルイがグライル越えに身を投じた目的はまだ明かされていませんが、彼の利益に反する展開になってしまいそうでした。ある意味モンリークの愚かさに救われた形です。そりゃ頭の中に罵倒語が大渦を巻くというもの。
そして…………ネタバレ空白。
セルイの目論見などどうでもよく、カルナリアが青ざめたのはフィンに自分の正体を知られることへの危惧でしたが……。
最終話まで先にお読みの方はご存知の通り、フィンの方はカルナリアが王女であることをとっくに知っています。なのでカルナリアの流麗な祈祷や心のままの舞いも、もちろん全部しっかり見聞きしていますが、(いいなあ……可愛いし美しい。これが一国の王女、姫君というものか。さすがだ)と保護者面で目を細めているだけでした。
先に行ったのも、この可愛い子の行く道を安全にしなければなとテンションあげて警戒にあたったということです。行く先に魔獣がいたならば悲惨な目に遭っていたことでしょう。……「あれ」のせいでとうに逃げ散っていましたが。