キリがいいからと、99話予定だとほざいてましたが、正直15話あたりで「あかん、ネタ尽きるのでは……?」と不安になった時期がありました。
一番最初の龍神誕生の逸話を除き、昔密かに練っていたプロットは全部作中において950年以降起きた出来事でした。
龍神の力を悪用して世界征服をたくらむ勢と、正義の剣をもって弱きを助ける勇者にまつわる話でした。はい。
で、世界を救う勇者が旅の途中で仲間を増やしたり、仲間に裏切られたり、龍神の真実を知ったり、最後には世界がドッカ―……
と、種明かしは早すぎますか。
とまあ、だから20話あたりまでやたらと元桑9〇〇年が多発してたんですよ。
でもじゃあ、いったいどういう道筋をたどって900年もの時間が流れてきたのか、と考えると、そりゃまた途方もないなあ、とちょっとめんどくさがり症で頭痛がしました。
竜生九子の故事は昔から知っていて、ファンタジーにもってこいのうまい設定やんけ、と長年の妄想を形にしたわけですが、うまい所だけつまみ喰ってもずるい気がするし、話の中で(大体)短い生涯を閉じた彼らに申し訳ない。
彼らはどうしてこう選択してしまったのか、どうして別の生き方を選べなかったのか、私はとことん見てみたいのです。
ご都合主義ではなく、ちゃんとした整合性を持たせたいのです。
そのために二週間かけて、年表を作りました。
999年分の大雑把な年表。各国の勢力関係図、地形、産業、風習、作物……
本当に気の遠くなる過程でしたが、やっといてよかったと思えた。
離散してた兄弟の話をぼんやり考えていたが、年表作ったら、いや40年の差あるやん、兄弟設定無理だろって気づかされたり(師弟の話・落とし子の話)、無関係だと思っていた人物は同じ国出身で、その後の展開を考えるとむしろ絶対ひと悶着合ったろうと考えなおしたり(薬師の話・守護者の話)……
世界が出来上がると、自分の気まぐれや萌えポイントが簡単に入れられなくなる代わりに、話のヒントが次から次へと湧いてきました。
彼らが、自分の世界を見せてくれたんだ、とドキドキしながら覗き見て、書き止める作業にいそしみました。
えっ、この時こういう出来事があったから、その影響を受けてあっちはああなってしまうよね、そしたら次はこういう局面を迎えるよね当然。
みたいに。展開が読めなくてワクワクします。
とりあえず99話分は余裕で続けられますね。おそらく。
後の問題は話の並び替えですね。
999年からスタートして徐々に0年に近付けるか、順を追って天地開闢から並べるか、それとも重要な出来事ごと周りの人たちの話をするか……
でも次に書きたい話が必ず同時代とは限らないし、同じ出来事についてとも限らないしで、結局決められませんでした。
なので、やっぱり気の乗る順番でとりあえず全部の話を出してから整理する方法が一番のように思えました。読み手に不親切で果てしなく申し訳ないのですが。
自分で読んでみても、なんだこの無茶苦茶な順番は、と思いますが、せめてものルールとして、一話完結だけでも守り通します。
たぶん近況ノートを細かく読み方も少ないと思うので、今までの話について、ちょっとした裏話をします。
座長の娘は、落とし子の母親です。物静かで地味な小娘だったけど、ごっつう美人に成長します。ただ美貌を気付かせないほど性格が地味です。
迷子と猟師は同一人物で、猟師の鳥は少年の話にちらりと出てきます。
絵描きは、使者の曾曾曾(以下略)孫娘です。
裁判官の娘と召使いは夫婦になります。二人の間に生まれる子が最初の「勇者、世界征服を阻止する」構想の話の主人公だったりします。その仲間の一人が、巫女です。
たぶんこれは、99話書き終えて順番を整理してから出ないと、読み物としては三流にすらならない代物でしょう。付き合ってくださる方、本当にごめんなさい。
途中で投げ出さないために、きっちり人目のある場所に出して継続する意志を持ち続けたい私のわがままです。はい。
今後については、個人的にワクワクしている展開が以下になります。
※海を渡ってからまったく話に絡んでこない嘲風の末裔の帰還(姫様――!!)
※龍神信仰に背く囚牛の密教「畏神教」の振興
※神血統合の果てに待つ二度の岐路の試練
さあ、生きるためにあがいて見せよ、生きとし生ける者たちよ。