スーパーに行く以外家を出ることのない生活って、言われるほど苦ではないんですよ。
ゲームが遊べて本が読めれば普通に楽しいです。
収入に関する悩みさえなければ一生こもっていられる気もしますが、そこが一番の問題点ですよね……
年末年始は出かけるのが億劫で電子書籍をバンバン買いましたが、目がちかちかするし、なぜか内容がすんなり入ってこず、漫画はともかく、小説はやっぱ紙の本がいいと思いなおしたこの頃。
時節に合わせて『ステイホームの密室殺人2』を購読した。
1を買わずに2を買ったのは、単純に目当ての作家さんが2に出ているからでした。
短編の寄せ集めで、作風もクォリティーもバラバラのため、付け焼き刃感が否めない。
購入目当てであった短編、「ステイホーム殺人事件」は、全体的な構成は悪くなかったのに、なぜか最後の数行で唐突にBL的な関係性を匂わせてきて肩透かしを食らった気分でした。
主人公の少年が中性的な外見であること以外、それにつながる描写もなく、なぜむりやりホモネタぶっこんできたのか、作者は何を伝えたかったのか、宙ぶらりんで後味が悪かった……
「迷惑な殺人者」はこの本の中で一番気に入りました。
ぼんやりオチは予測できていながらも、そこに至る過程を楽しませてくれる叙述が展開され、綺麗に完結した短編でした。
作者は日向夏という方で、ほかの作品も読んでみたいなと思えました。
一冊1400円ほどですが、読み終えて、1は買わなくてもいいかなという微妙な感じでした。
無理に今の情勢を小説に取り入れ、上滑りしている感が強いので、それなら時節ネタはなくていいから、しっかりとしたものを読みたかったです。
スティーブン・キング氏の『書くことについて』は、なかなか読み応えがありました。
自分の人生を振り返りながら作家を目指す者にちょっとしたアドバイスを送る、といった感じの本ですが、「これこそ定石だ」「こうであるべきだ」のような押しつけがましさや気取った雰囲気は一切なく、すらすらと頭に入ってきます。
だからスティーブン・キング氏が大好きなんですよ。スティーブン・キング、ラブです。
中でも印象に残ったのは、
「(どんなにあがいても)三流の作家は二流にはなれず、一流の作家は超一流にはなれないが、やりようによっては二流は一流になれる」
といった意味の持論です。
ストンと落ちましたね。
実用的な面でいうと、仕上げた作品はたっぷり時間をおいてねかせてから手を入れる、見直しをする時は3割くらい無駄をそぎ落とす、といったアドバイスですね。
自分は大体興に乗って何か書いたら、翌日ちょっと添削してあげてしまうし、添削する時もあれこれ足してしまう質ですが、キング氏のアドバイスに従って、ためしに一年前や半年前の物を引っ張り出して読み直したら、冗長と説明過多にびっくりしました。
3割は余裕で削れるし、やっぱり十分な期間を置かないとあらに客観視できないものだなと実感しました。
『書くことについて』、結構おすすめです。
余談ですが、和訳の本って、雰囲気は訳者によってだいぶ変わるから、合う時は「はあ、この人が訳してほんとによかった」と感動を噛みしめるし、合わない時は無性に腹立つことありません?
……私だけじゃないことを信じたいですね。