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好きな本のはなし

さくらももこ著のエッセイが好きです。

いまのチビッ子たちには「ちびまる子ちゃん」の相性で親しまれているアニメの作者です。

昭和生まれ世代、本好きであれば平成生まれ世代でも知っている人はいるので、このような場所で改めて言うのは釈迦に説法かもしれませんが、さくらももこ氏、かなり畜生っぷりが炸裂しています。

最近テレビ放送されている「ちびまる子ちゃん」では30分を分割して二話構成にしており、かなりの確率で少なくとも片方のエピソードはハートフルな結末を迎えています。これは時代のニーズだったりテレビのあり方の難しさによるものが大きいのだと思いますが、まだ規制の少ない平成初期のテレビにおいて、アニメ「ちびまる子ちゃん」はハートフルとは対極に位置していました。

まさに畜生。
独特の例えで相手を揶揄することなど朝飯前で、言葉を選ばず言えば、まる子をはじめとするのクソガキたちのクソガキっぷりが縦横無尽にエピソード内を飛び交っていました。さらに子どもだけならいざ知らず、大人たちにまで下衆がいるという救いようのない実話ベースの昭和ストーリーが繰り広げられます。ある回では水害で沈む町を背に記念写真を撮ったり、火事になった友達の家のエピソードをこれは最高のネタになるとばかりに採用したりと味わい深い物ばかりで、ちびまる子ちゃんのクズエピソード回が大好物な実家では、それを肴に飯を喰らうというのが日曜夜の日課でした。

そんな原作を担っている、というか作品それ自体である、さくらももこ氏が真っ当な人間であるはずがありません。テレビほど規制のない表現の自由が許されるエッセイにおいては、彼女の腹の中の負の感情を煮込んだような至高の表現が随所に散りばめられています。今どきの例えをするなら、YouTubeの切り取り動画が元動画とほぼ同じ長さになるような現象、つまりどの場面を摘まんで読んでみても余すことなく面白いエッセイになっています。

しかもそのエッセイ集がいくつもあるので、残りの夏休みの暇をもて余す学生も、休日することがない無趣味な社会人も、そろって読まことをおすすめしたいです。

2件のコメント

  • 私はやっぱり、じいさんの葬式の話が好きですね。
    ゲラゲラ笑っていたら、あんた性格悪いねと、親にひかれましたが…
  • 中辛バーバリアンさま

    やっぱりみんな好きですよね。
    大学の図書館に置いてあって、笑いを堪えながら読んでいた記憶が甦ります。
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