そんなわけで、以前から宣言していた「歴史を感じるショートストーリー」です。
……ノリで書いて、「書いた」と宣言したことを、今はとても後悔しています。
そんなわけで、もうひとつ、100万字記念をやりました!
→もうひとつのほうは、次の近況ノートで。
https://kakuyomu.jp/users/NaN/news/16816452219711958090とりあえず、ショートストリーをどうぞ。
=== 100万字記念「時の流れを感じる」ショートストーリー ===
皆さんは、俺こと鷹刀リュイセンが、物語が始まる前に倭国に海外旅行をしていたことを覚えてらっしゃるだろうか。
連載開始よりも前のことであるから、2015年10月よりも前のことだ。
『デヴァイン・シンフォニア』の歴史は、カクヨムのオープンよりも古く、初投稿サイトは、今はなき小説サイト『dNoVeLs』というところだ。そのサイトの記録はもう残っていないが、数日遅れて『小説家になろう』でもスタートしたので、当時の片鱗くらいは見ることができると思う。
ただ、そもそも、この物語は、第○回スニーカー大賞に応募した話のスピンオフである。そこに出ていた脇役のひとりが、現在のルイフォンなのであるが、もとの話と名前が変わっている。以前はもっと適当な名前だった。
しかし、『デヴァイン・シンフォニア』の主役に抜擢されるにあたり、「もとの話のヒーロー役」の名前を奪ってきた。つまり使い回しである。なお、俺の名前は、ヒロイン「メイシア」の父親役だったように記憶している。
話がそれた。
つまり、100万字という長さ以上に、古~い話なのだ。
――と、いうことは、どういうことになるか。
さて、俺の海外旅行の話に戻るが、出発にあたり、俺はルイフォンに「『キーロガー』なるものを『アキハバラ』という街で買ってきてほしい」と頼まれた。なんでも、キーボードで入力される文字を記録する機械であるらしい。入力された『キー』の『ログ』を取るものという意味だそうだ。
旅の同行者である父上は「面倒くさい」のひとことで俺を放置した。よって、俺は単独、アキハバラの街に繰り出した。
アキハバラは電気製品の聖地だそうだ。駅には専用出口が用意されていて、その名も電気街口という。
しかし――だ。
そこで俺が見たものは、自分の屋敷を飛び出して、何故か客引きをしているメイドの姿だった。いったい、彼女の身に何があったのだ?
俺に声を掛けてきた彼女に「主人に怒られて逃げてきたのか」と訊いてやったのだが、伝わらなかった。しまった。この国では俺は外国人だ。真面目な俺は、日常会話くらいは現地語で話せるようにと勉強してきたのだが、全然、通じていない。
ともあれ、彼女と別れ、ネットで調べておいた地図によって、どうやらそれっぽい店のあるところにたどり着いた。
出発前、ルイフォンは「アキハバラの法則」という話をしてくれた。なんでも、アキハバラという街は競うように安売りをする街であるので、ものを買ったあとは、別の店で同じ商品を見てはいけないのだという。自分が買った値段よりも安く売っていることがままあり、悔しい思いをするからだ、と。
しかし、そんなものは、あらかじめ価格比較サイトで検索しておけばよいのではないか? ルイフォンは、いったいいつの時代の話をしているのだ?
「オヤジ、『キーロガー』というものをくれ」
カタコトの倭国語で俺は尋ねた。すると、店主は思い切り不審の眼差しで俺を見た。
実は、俺は『キーロガー』なるものが、どんな姿をしているのか知らなれば買うことができないと思い、店に入る前にネット検索した。
すると、ハードウェア的にログを取るやつなんて、もう廃れているらしい。今はソフトウェア的に情報を入手するのがメイン――って、それこそルイフォンが自作できるじゃねぇかよ。あいつはいつの時代の情報を持ってきたんだ?
というか、どう考えても犯罪にしか使えそうにないものを普通に買えるのか?
俺は激しく疑問に思っていたのだが、それでも、俺だけ海外旅行に行くのも悪いなと思っていたため、せめてルイフォンが欲しがっているものくらい、土産として買って帰ってやろうと、必死になっていた。
「兄ちゃん、●★▲……」
「は?」
店主の言っていることが分からない。そりゃそうだ、外国語だ。
俺はカタコトの倭国語を駆使して話しかける。しかし通じないので、英語と母国語を併せて、身振り手振りを加え、店主へと迫る。
「兄ちゃん! ●★▲■@!?」
「え?」
「コノッ、★▲■●★▲■!!」
このとき、俺は自分についてよく考えるべきだった。俺は、犯罪にしか使えそうもないアイテムを買いに来た、やたらとガタイのいい怪しい外国人だった。
店主が電話を手にした。俺は、直感的に警察に通報されるらしいことが分かった。言葉が通じなくてもそれだけは分かった。そこはやはり、俺が凶賊の家の後継者だからだろう……。なんだか、なぁ……だけど。
海外で捕まるのは勘弁してほしい。弁解できる自信がない。
そこへ――。
「お兄さん、こっち!」
どっからともなくメイドが現れて、俺を呼んだ。
さっき、少しだけ話をしたメイドだ。なんで彼女が来たのかは――単なるご都合主義だが、俺は渡りに船で店から逃げ出した。
その後、俺は彼女に「カッコイイ!」と言われまくれ、謎の衣装に着替えさせられ、謎のポーズを取らされ、写真を撮られまくったあとに解放された。……よく分からない。……本当に、よく分からない。
こうして、わけの分からない海外旅行は終わり、母国に帰って……――俺は結局、空港で警察隊に拘束されることになる。
初めはてっきり、あの店主が母国にまで手を回したのかと思い、恐れおののいた。しかし、さすがに、うらびれた小さな店の店主にそんな権力はなかったようだ。
そして――。
俺は、貴族、凶賊、警察隊の思惑の絡み合った陰謀へと、巻き込まれていくのであった。
――第一部 第三章に続く!
……お粗末さまでした。
公開したことを後悔する、ショートストーリーでした。
実は「リュイセンが、秋葉原にキーロガーを買いに行く」話を本編に入れようと思っていた時代もありました。
しかし、もう、今更……。
もとが古~い話なんです。
それを現代の状況と無理やり融合させたような、させていないような……。
現代でも、SFでもない、独自の世界ということで、ご勘弁を。
さておき。
いつも『デヴァイン・シンフォニア』をお読みくださり、どうもありがとうございます。
長い長い話ですが、それでも読んでくださる方には、本当に感謝しかありません。
まだまだ続きますが、無限に続く話ではありません。
終わりはあります。
最後までお付き合いくだされば嬉しいです。――が、まずは私が書かなければ……。
これからも、頑張ります!