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火々く

 あ、ぶない、あぶない、火に近づいたら燃えてしまうよ、火に触れたら戻れないよ! 両手を人に引かれながら、キャンプファイアから離れる。でも、見てよあのダンスを……!! ふくよかだ、かろやかだ、踊っている。人の形に見えたら、次は犬の形をしている。思わず吠える!! 声の沸騰するようだ、頬の熔けるようだ。右手、左手を振りほどく……後ろで大勢の声がする……。
 移ろう火の影はパチパチと手を叩き、私に尾っぽを差し出す、そのふさふさとした緋色の毛はすぐにゆらいで、新たな形を私に見せる。ああ、終わることのない夢だ、思考だ、取り留めのない、おさない頃の物思いそのものだ!
 形のわからぬものに手を伸ばす、しだいに私の輪郭も消えてゆく、心地がいい、角砂糖のゆらぎを眺めるような、ぼうっとした気持ちの遥か彼方で、あなたは、ひがないちにち、踊り続ける。

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