味噌わさび

なぜか俺が秘密を握っていると思い込んでいる彼女。 本当は俺は何も知らないのだが……

　遠い未来。進歩した人類はその生死を運命に委ねるようになった。 　「機会」が来れば死、「機会」でなければ死から逃れられる……死刑制度もそのようになった。 　巷では、そんな狂った死…

　死の間際にあったある男。子供や孫にも守られながらあとは安らかに逝くだけ……と思いきや、男の頭の中にはいきなり声が聞こえてきたのだった。

どこに行くかもわからず、どこを行っているのかもわからない……そんな男女二人の旅の短い記録の積み重ねです。

アリジゴクというのは、ウスバカゲロウの幼虫だ。 蟻が砂の巣の中に落ちていくのをずっと待っている。 蟻は一度巣の中に落ちてしまうと、二度とは這い上がれない。 それは蟻にとっては地獄…

ふと、通りかかった小さな店、メイド喫茶＆Bar『仏頂面』。 仕事帰りに俺は、まるで誘われるようにして、そのまま店に入ってしまう。 そこで出会ったのは……仏頂面のメイドさんなの…

幼馴染。 それは、幼い頃から仲が良い人、あるいは物心ついたときからの顔馴染みなどを意味する関係。 それはいつまでも一緒にいられる関係性……のはずである。 少なくとも、俺はそ…

勇者と仲間たちの活躍により、魔王は倒され、世界に平和が訪れた。 実際、世界は平和になった。ただ一つの問題を残して。 勇者という、強すぎる存在をどうするのか、という問題を。

いきなり告白されたと言い出す幼馴染。 俺は、そんな彼女にどう言葉をかければいいのか、わからないのであった……。

八尾京介の幼馴染、七瀬七海は基本的にツいていない。 ドジを踏んだり、不幸な目にあったり……しかし、いつも彼女はなぜか明るいのだった。 そして、その明るさには、理由があったのだ…

付き合って三ヶ月の大学生のカップル。 別に倦怠期というわけでもないが、ふと、彼氏の方が思った。 彼女のあまり注目していない部分を、見てみたいな、と。

深夜の散歩は不思議な感覚を味わうことができる。 しかし、ときに……用心をしなければいけないことも往々にしてあるわけで。

ぐちゃぐちゃになってしまった俺と幼なじみの関係。 俺はそれをもとに戻すために、引きこもっている彼女の部屋に向かうのだった。

UFOキャッチャー景品をとるには、コツがあるらしい。 よく商品の位置を把握して、アームを調整する。 そして何より……とれなさそうな大きなぬいぐるみには、そもそも挑戦しないこと…

ふと立ち寄った本屋。店内には誰もいない。 そして、手にした本に挟まっていたしおりには……文字が書かれていたのだった。

　俺は中堅パーティの戦士役だ。ひょんなことから、リーダーである勇者が追放してしまったヒーラーは、超貴重なスキル持ちだったそうだ。勇者は激昂し、とにかくソイツを連れ戻せと喚く。そし…

　どうも。貴方が記者の方ですか？　今日は私への取材でしたよね？　よろしくお願いします。自己紹介？　あぁ。そうでした。私は「魔物駆除隊」の隊長です。名前？　名乗るほどじゃないですよ…

才見仁はついに、使用した対象者の好感度を1日「1」ずつ上がるアプリを開発することに成功した。 そして、その対象者は、隣の席の氷川冷華。 好感度が「100」に達成するまで、二人…

俺、後田湊の前の席の彼女、前野真奈美は、整った顔立ち、美しく長い黒髪、太すぎず、細すぎないスタイルも良い、クールな感じの美少女だ。 これは俺と彼女と……その他諸々の会話の記録で…

転生勇者が旅の末に、異世界の魔王から聞かされたのは、命乞いの言葉だった。 果たして魔王は、勇者が納得する「魔王を見逃す理由」を提案できるのか……？

　クラスメイトのヤンキーっぽいギャルの八木さんにいきなり告白され、俺と八木さんは罰ゲームということで付き合うことになった。 　実際には、八木さんのパシリのような扱いを受けること…

　その世界の二つの国は、戦争状態にあった。 　小国である一方の国が、大国に無謀にも戦いを挑んだのである。小国は大国に勝てる見込みはまったくなかった。 　だが、意外にも小国は当…

　ほとんど人が近寄らない、学校の片隅にある部屋、読書室。 　そこで、俺と先輩はいつも本を読んでいる。 　先輩は黒髪ロングの美少女だ。 　それなのに、なぜか俺と同じ部屋で、い…

　埋蔵金が隠されている屋敷……そんな噂のある山奥の廃墟に、俺達は肝試し気分で乗り込んでいった。だが、それは大きな間違いだった。人間ではない何者か……わけのわからない化物が、俺達に…

どこかの世界の、遠い未来。 真夜中が続く世界で旅する男は、一人の少女と出会うのだった。

多忙を極める魔法使いは、猫の手も借りたい状況であった。 そんな彼の目の前にいたのは、飼い猫一匹。 彼は取り返しのつかない形で、猫の手を借りるのだった。

特技や目立つことがない少年。 少年の幼馴染は、なぜか彼のことをいつもヒーローだと言ってくるのであった。

久しぶりに再会した二人の旅人。 男性の方の旅人の気持ちは、その予想外の出来事に大きく揺れ動くのであった。

酔っ払った時というのは、結構、食べたものを覚えていない時がある。 そして、だいたいは、美味しかったという記憶だけが残っているのだった。

44歳、それなりに人生経験を積んできたつもりでも自分に自信が持てない男。 そんな彼に話しかけてきたのは、88歳の高齢男性であった。

お笑い番組を見ていたカップル。 そんな何気ない一時の、どうでもいいやり取り。

男は、夕暮れ時を、一人さびしく散歩していた。 ふと、懐かしいカレーライスの匂いにつられ、男は見たことのない定食屋に入っていったのであった。

明け方、疲労困憊で帰宅の途についていた男。 唐突何か食べたく鳴った男は「おにぎり」と看板を掲げた店を見つけるのであった。

気がつけば俺は転生していて、異世界で勇者と呼ばれる存在になっていた。 魔王を倒してこいという命令に従い、魔界に向かったわけだが……なんだかあまりにも俺が強すぎて簡単に魔王のもと…

お天道様に向かっていくから、天道虫。 だから、天道虫を見つけると、天気は晴れになる。 脈絡がないように思われるが、実際そうなのだから、仕方ないのであった。

ある日、訪れた寂れた神社で、俺は「神様」に出会った。 それ以来、俺は神様の「推し活」に励んでいるのだった。

ある深夜、どうしてもラーメンが食べたくなった男。 そして、その欲求のままに、街に繰り出すと、ラーメンの屋台を見つけるのだった。

二兎を追う者は一兎をも得ずとは、欲を出して、同時に二つのことをやろうとした結果、結局はどちらも上手くいかず、失敗してしまうこと。また、その状態にあること。

その森の奥には怪物が棲んでいた。 怪物は何十年、何百年……下手をすると何千年近くのとてもとても長生きな怪物だった。 怪物は今日も孤独に思う。どうしてこんな目に遭わなくちゃいけ…

お前、もういいよ――そう言われた時のことを俺は未だに覚えている。今すぐ、パーティから出ていってくれ、と……あぁ。まただ。俺はそのセリフに対して否定することも、怒ることもせずに、背…

俺はこれまで数多の転生を経験してきた。 好きなことをしてきたし、悪逆の限りをつくしてきたという自覚もある。それができたのも、俺はいつでも転生できると分かっていたからだ。 そん…

俺は一人でいることが好きだ。 食事をするときも、遊びに行くときも、一人だ。 その日も俺は深夜に一人で散歩をしていた。 良い気分ではあったが、どうにも一つ気になることがあるの…

俺はクラスでは目立たない方だ。でも、俺にはクラスに「推し」がいる。 でも「推し」は尊すぎるので、近付くことすらままならない。 だから、俺は「推し」のことを観察するのであった。

俺と幼馴染は付き合っている。しかも、かなり長い期間、幼い頃からずっと、だ。 しかし、幼馴染は俺と付き合う時に一つの条件を出した。 結果、俺は21年経った今も、その条件に従うし…

俺は中古魔法書販売店の店主だ。その日もいつものように魔法書の整理をしていた。 そんな折に俺は一冊の本を見つけてしまう。タイトルは『私と読者と仲間たちの冒険譚』。 その本を開い…

深夜の散歩の帰り道、俺は道に落ちていたスマホを拾ってきてしまった。 スマホに記録されていた写真を見るうちに、俺はあることに気付く。 俺は……取り返しのつかないことをしてしまっ…

廃村巡りが趣味の俺は、夏休みを利用して、遠い廃村までやってきた。 一夜にして村民全員がいなくなったというミステリーのある村の神社で、一人の少女に出会う。 そして、俺はその不思…

魔物や盗賊が跋扈し、危険な世界。 俺は兵士だった。しかし、どうにもカンが悪い。 俺の直感はどうにも外れてしまうのだ。 そんな俺は兵隊の中でも「死神」と呼ばれ、いつのまにか、…

走る。俺は、走り続ける。 暗闇の中、どこまでも。出口の光に向かって。 きっと、いつかは、必ず外に出ることにできると思っているから。 そして、俺はたどり着く。 トンネルを抜…

いつからか「おうち時間」が開始された。 それはとても長い長い期間で……耐えるのはとても大変だった。 しかし、ようやく、解除の知らせがあった。俺は耐えきったのだ。 これでよう…