私はここで物するのは主に〔歴史小説〕に分類されたい書き物です。
歴史ものであるということは、単に過ぎた時代に仮託したコスチューム・プレイではなく、当時を生きた人の世界観の中に入っていくということです。現代からのまなざしで過去を切り取るのではなく、当時の現在進行形を再現しようとするのでなければ、歴史ものを作る意味はないと思います。
そのため作中には身分、出身、性別などによる差別的、言い換えれば不当待遇的な表現を使うことがあります。これは歴史ものを構成する上での必要と、我々が歴史的に経験した差別を認識することの意義を考慮し、最小限度かつ嗜虐的にならないものに留めるつもりです。
その上でもし必要を超えていると思われる表現を発見された場合は、御批判をいただければ幸甚です。