世界にこの声を聞かせたい。
ひとりの男が真実を訴えながら深く苦しむ咆哮——もう偽りの物は見たくないと叫ぶ、人々を呼び起こそうとする咆哮。しかしどれほどの大声を出しても、彼らの耳には届かないのだろう。決して起きてはくれないのだろう。何故なら、彼らはずっと寝たふりをしている。誰もが選んだのが偽りだらけの夢に逃げ込むことであるから、そここそが人の自我に存在する欲界。
金や女、酒や薬。……それらの色に塗れたところだ。
何?もどかしい?じゃ例を挙げよう。
例えば、人は名利に関わると虚飾の仮面を被り、誇りと诚实であることを忘れてひたすらに欲求の奴隷になる。そんなやつの見た世界。それと同じく——野望を抱けば、人は他人を土台として踏みにじれるようになり、全ての生命に等しくある尊さすら忘れてどうしようもない狂人の内心の世界。
なのに娯楽主義者は言う、それらは人生における必要品だと。
ぬかせ。
ただの痛覚遮断の麻薬、だろう?
生きるのが辛いから、楽しいと自己欺瞞ができる。そんな都合のいい言い訳を作り出したのだろう。
——違うか?
古代は衣食住のためだけに一生苦労する。
それが現代で既に進歩したと言うが、人々はもう着ける食えるだけで満足すらでないような心の持ちぬしになった。
人間。
それが万物の霊長を意味する言葉でありながら、我々自身への呼称でもある。
あまりにも理想的な概念だから、人間の存在はきっと有り得ないのだ。
我々は永遠にその境地には達さない……
永遠に人間失格だ……
それが私が見た真実。
そして真実は何時でも心を痛むものだ。
だからこそ、私はこれからもずっと、咆哮し続けるのでしょう。