• 異世界ファンタジー

クラリス女王/聖女事変

短編『セレファイス』は創元推理文庫『ラブクラフト全集6』に収められている。
セレファイスは、少年の頃のクラネスがたびたび転移した都だ。恐らくは19世紀であろう。英国コンウォールの名家の生まれだったこの人は大人になって破産し、ロンドンで侘びしく暮らし、薬物中毒に冒されていた。やがて金を使い果たし、ホームレスになった。夢見人であるこの人を、かの都市から立派な騎士たちが迎えに来て永遠の王にすえる。だが現世《うつしよ》では米国インスマス市の浜辺に遺体が打ち揚げられているというオチだった。

この人物は、本作の元ネタとなる長編『未知なるカダスを夢に求めて』にも登場し、神々が住まうというカダスを捜す青年期の主人公カーターの前に姿を現し、神都に関するいくばくかの情報を提供する。

片脚を引きずるクラネス老王は、本作において可憐な美少女の姿をした「夢見姫」の一人・クラリス女王とした。


挿絵:クラリス女王

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