『異世界で俺は神になる!』は、転生モノとして自分なりに面白い話が書けたと思うけれど、自分の持つ駄目な部分が浮き彫りになるような作品だった。
この物語は異世界転生だけれど、異世界転生の最も強い武器を捨ててしまっているように感じていた。その理由の根音的な部分に気づいたので、これは〝あとがき〟的なモノになるのかも知れない。
私が『異世界で俺は神になる!』を書いて致命的にダメだと感じたのは、私が芸術家気取りでエンターテイナーではないところだ。
私は結局のところ〝面白い話〟を作りたいと本気で思っているけれど、
この物語を読んだ人を〝楽しませたい〟と本気で思えていないのだと思う。
『異世界で俺は神になる!』の最大の欠点は〝作品の完成度〟をあげる代わりに〝読者への読ませる負担〟と〝楽しさ〟への割り振りが削られてしまっている事。
やはり、これは物語を書く目的の違いが如実に現れた結果なのだろうと思う。
私が異世界転生モノを書いて実感したのは、ある程度の〝完成度〟や〝一巻分でのオチ〟よりも、ネット小説にとっては〝一話完結の面白さと手軽さ〟が評価基準として物凄く大きいのだということ。
そもそもネット小説の〝想定読者〟というのは、活字に慣れていない読者か、残業してクタクタになって疲れている会社員だったりするのだと思う。
そんな〝想定読者〟が、『コネクトシステム』のようなSFを好むとは思えない。
軽くて読みやすいテイストの物語が好まれるのは当たり前だろう。
実際、そういった物語が評価され、ランキング上位に並ぶのだ。
そんな場所に向かって書くにしては、私の作風というのは致命的に合っていないのだと思う。本気で〝ネット小説〟で成り上がることを目指すのであれば、もっと頭を空っぽにしても読めるような〝素直に面白いな〟って思えるようなモノを書くべきだと、思う。
でも、それは私の〝本当に書きたいモノ〟なんだろうか。
私が本当に書きたいのは〝人に評価されるモノ〟なんだろうか。
もちろん、人に評価されることは嬉しい。
……しかし、私の実力では、私の伝えたい〝面白さであるオチ〟を読者に伝える前に読者は帰ってしまう。
非常に悲しい。
どうすれば、私は読者を、物語のオチまで読んでもらえるように引っ張ることができるのだろうか。
でも、私が書きたいのは『ワンピース』のような物語ではない。
もっと深く感動できるような、終盤に全力を注いだような作品が書きたい。
この時代に、このネット小説に向いていないと知っていても、そこを変えることなんて、私にはできないと思う。
それぐらいなら、評価されなくても、良いとすら思ってしまう。
私は我が儘なのだろうか。
選択を迫られているのだろうか。
一週間ほど悩みに悩み続けていたけれど、こうやって文字に起こしてみて、今、ようやく、思いついた。
ようやく、私がやりたいことが分かった。
私は結局のところ、この時代に合っていないとしても、オチが素晴らしい物語が書きたい。
しかし、評価もされたくて、評価されないことに悩んでいた。
だって、面白い物語とは評価されるべきだからだ。
……なら、私の目指すべき道は簡単だ。
どちらも両立できる画期的な物語を、その構造を考えるべきだ。
入口が読者に優しくて、ストレスを与えず、さらにオチで感動させる。
ああ、思いついてみれば簡単な事だった。
どっちも両立してやる。
これを次回作の目標にしようと思う。
……言うは易く行うは難し。
めちゃくちゃ難しそう大汗
でも、ようやく心情的な悩みからは解放された。
あとは進むだけだ、進むだけなら、私にも、できると思う。
今思えば、悩む必要なんて、最初からなかったのかも知れない。
……でも、そうやって書いて評価されなかったら、また悩むんだろうなぁ。
その時はその時でまた悩めばいいか。
……今回は本当にチラシの裏にでも書いとけって内容ですみません。
でも、近況ノートって感じはするかも知れないですね笑
この答えが出せなくて二週間ぐらい足踏みしたけれど、今となっては良かったのかも知れない。