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徒然雑記——『靖(あお)き慈愛の風』(砂伝第三部「故郷」までのネタバレ含)

本日の更新分でリュライオの話題が出ましたので、裏話第三弾です。
主に、第二部から第三部の間に彼が何をしていたか、のお話になりますので、リュライオ結構お気に入りだったんだけどーッ、て方はご覧くださいませ。



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世界のはじまりより在る三者の竜――、それがクォーム、リュライオ、ハルです。クォームがEarthの記憶なら、リュライオはEarthの心。そうするとハルはEarthの知恵でしょうか。

争いが苦手で、ひとの痛みとか悲しみにひどく敏感で、感情移入の深いリュライオは、いつからか竜族の尊敬を得、『竜族の長』『風の長』と呼ばれるようになります。
ハルが人族の王・導き手なら、リュライオは竜族の長と言えるのかもしれません。

ハル亡きあとは、その人一倍強い責任感からか弱音を吐くこともせず、幾多の世界を巡っては、他者の面倒を見てばかりいたようです。
でも、そんな強さの裏側の心は、脆くて繊細だった昔と変わっていない……と気づいていた者は多くはなく。そんな彼にとって、親友のライトと弟(むしろ子供?)みたいな存在のファイアは、特に大切な存在だったのでしょう。


***

世界は
億年の時元を遥かに超えて
世界の『大いなる意志』によって始まった
誰にも知り得ぬ方法で

ならば
世界の終わりも
予期せぬ仕方で突然に臨む
『大いなる意志』ではなく
人間の手によって

あともう少し もう少しだけ 待ってみたい
大地を 自然を踏み倒し
我が身の欲に 我が身を滅ぼす
世界が滅びる日まで

もう少し もう少しだけ 待ってみよう
人はそんなに愚かでは無いはず
人が変わるか 変われるか
大地と共に 生きられるか

もう少し もう少しだけ 見守っていよう
天よりも高い
とうめいな
とうめいな闇の中で

***


これは、とある小説の序詩で、リュライオの詩だと思われます。
風の具現(精霊)イオは、地球を破壊する人間など滅ぼしてしまえとずっと主張してるのですが。
リュライオは地球も人間も草木も鳥も獣もみな大切で、いとおしいのです。

「砂伝 第一部 外伝一」のハルとの出逢いの話の中で、ハルがリュライオに覚悟を尋ねるシーンがあります。
幾ら強大な魔力を持つ司竜といえど、目に映るすべてを救うことは不可能であり、感情と公平性の平衡を取るのは非常に難しい。リュライオは司竜としての生涯ずっと、その問いと向き合い続けてきたように思います。
ひと頃は、司竜の魔力を自分からは使わないと誓約を立てたこともあったようですが、結局そうやって心を殺すことはできず。

人族が星の魔力を魂に宿し、死した後夜の天空に幻の灯を灯すのと同じように、竜族は自分の魔法力全体(つまり生命)と引き換えて、願いを叶えることができるらしいです。
司竜ともなれば、その奇跡の規模ははかり知れません。

長い時代を経て出逢いと別れを繰り返し、幾度も迷い悩み続けた結論は、結局。
始まりの時代に、小鹿の死に泣き続けた、その心のまま。
その選択が正しいか間違ってるか、そんな事が問題ではなく、どうしても何かせずにはいられなかったのでしょう。

見かけほど器用ではなく強くもなく、それでもいつでも他者を想って一生懸命だったリュライオだからこそ、クォームは彼のことも特別に大切だったのでしょうね。


***
 1945年 8月15日 人間界にて

第二次世界大戦は終結した。リュライオは、沖縄の海を見て、悲しそうに手を合わせていた。
リュライオはこの世界を次代に託して、〝風(イオ)〟に見とられてこの世界から姿を消した――。
セアルやリュライオやライト……。
皆、死んだのに、オレみたいな悪竜ばかりが、まだこの世界に留まっている――。

***


小説『StarQuartz』は、クォームがリュライオ復活を成し遂げようと砂漠で海で暴れまわる話です。
未完なのでカクヨムに出す予定はないのですが……。
はるか遠い未来を描いた一枚絵に、仲良くじゃれ合うクォーム、ファイア、リュライオ、それを見守るハル&ティアが描かれています。
だからそんな未来も、いつかくるのかもしれませんね。

2件のコメント

  • 拝読いたしました~。
    あのクォームさんがそこまでリュライオさんを想っているとは……「暴れ回る」というのはピッタリで笑ってしまいましたけども(^^)
    そのお話、ぜひ読みたいです!ファイアくん物語も楽しみですが、そちらもぜひ!(´∀`艸)♡
    ちなみにクォームさんの日記はどこに保管されているのでしょう。すごい量になっていそうですが……。
  • 「スタークォーツ」、ノリノリで書いたものなのでわりと面白いんですが、完結できてなくって……^^;
    エレナーゼ関連で完結未投稿がまだたくさんあるので、その辺を出しきってひと段落したら、未完のものを整理していかねばですねー(いつになるのか?
    クォーム一人称の小説もいくらかあるので、そっちもいずれ出そうとは思ってます。
    時織りのシリーズはあんまり発掘しすぎると鬱展開が待っている、という罠もありますが……(遠い目
    クォームの日記は、影の領域という結界空間に収納されております(^^
    あいつ、一応、記憶と空間をつかさどる司竜なので、そういうのは得意なのです(笑
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