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「トゥンク」「チャハーン」説

 ちょっとネタバレになるが、水曜更新のクイズノックの動画でオノマトペクイズをやってて、そんなかで「トゥンク」というのは心臓が高鳴る音だから……というコメントがあった。それで前からちょっと思ってたが、いやそれは確かにそうなんだけど、前提なしで心臓が高鳴る音扱いしていいんか? という気持ちになった。
 いやその何が言いたいかって、「トゥンク」自体ってギャグだったんちゃうんかって思うんですよ。ところが今や正式な「胸の高鳴りオノマトペ」に昇格(?)しちゃってる気がする。どうなんでしょうね。これは発祥の人がどう思って描いたかにもよると思うので、曰く言い難い部分もあるんだが。

 いつもそうだが、今日は特になんの根拠もない話をするので、そのつもりで聞いてね。例えばその〜、幼馴染の男の子がいると。で、普段は「バカ」とか「ブス」とか自分を罵ってくる……タイプの知的機能や容姿で他人をジャッジするようなやつは現代的には少……恋愛漫画の主人公たりえない気がするが、まあ、昭和の頃にはあったんです。そういう奴が主人公になる、愚かで遅れた時代が。許してください。で当時の表現を尊重して書くと、普段は「バカ」「人殺し」と罵ってくる人が、自分がちょっとした事故で頭にバケツを被ってしまい、人相がわからなくなった途端、めちゃくちゃ優しく接して来て、そのギャップにグッと来る。最初お前は「幼馴染の男の子」と言ってただろうが。なぜ急に二ノ宮亜美の話をする!!! すいません。『ラフ』が無料公開中なのが悪い。

 話を戻します。普段は「バカ」「ブス」とか言ってた幼馴染の男の子がいると。ところが、自分が他の男の子にナンパとかされて困ってる時に、この男の子が無愛想に現れて、「オレのツレなんで」とか言って助けてくれるわけ。

 「普段は私のことバカにしてくるくせに……。こんな時だけ、頼りになるんだから……」の後には、「トクン……」というオノマトペが来てたと思うんですよ。かつては。俺の記憶が確かなら。「ドキドキより弱いが、確かな恋心の芽生え」を意味するオノマトペは「トクン」だったと思ってるわけ。

 ほんで、全然正確には覚えてないが、それこそTwitterで公開されてる漫画とか? で、本来そういう恋愛対象にはなりえないが、あまりにシチュエーションが恋愛漫画的だったので、ついつい「トクン……」ってなりそうだった、が絶対に恋愛には発展しないので、その恋愛漫画パロディ的な状況、コメディライクな雰囲気を示すために、「トゥンク…」というオノマトペが使われだしたように思うんですよ。違います?

 シリアス(?)恋愛漫画だったら「トクン」と心臓が動きそうなシーンだったが、これはラブコメなので「トゥンク」となる的な。分かりますか。『ガラスの仮面』の中では、単純なコミカル描写として用いられてた、片目が線、もう片目は開かれているが、瞳孔が星マークで描かれてる、「(明るめの)驚きで目を白黒させる」表情が、現代のある文脈の中では、「古い少女漫画誌と呼ばれる雑誌でよく見られた表現の抽象化」として使われることがあるでしょ。この時、これは単に「驚きで目を白黒させる表現としてふっるいの使ってんなー」と思われると面白くないので、あえてたとえばペンタッチなども普段の絵柄とは変えて、これは『面白表現』として、わかってて「古い」表情をさせてますよーというメッセージを伝えようとする。ってのと一緒で、マジでガチの胸のときめきではなくて、「いやこれが恋愛漫画的シーンだったらときめいちゃうけどこれは恋愛漫画じゃあないから実際はときめいてないですが〜」を示すものが「トゥンク」だったと思うんですよ。違ったのかなあ。

 なんかたとえば、デブと飯食いに行って、思ったより食いきれない飯が出て来てどうしようってなってたら、「任せな」つって涼しい顔で平らげてくれたと。別に恋愛的にはまったくときめかないが、なんかカッコ良いというか助かったな〜というのを面白で表現せしめんとしたのが「トゥンク」なんじゃあないんかいと。

 伸ばし棒って結構難しくて、小学生くらいまで間違うケースが結構あり、人によっては成人以降も間違う。あとPCで打とうとすると、PC操作のむずかしさによってもこの間違いが誘発されうる。で、街の中華屋のメニュー表を見ると「チャハーン」とか書いてることがある。これは面白い。なので、コミカルな場面で炒飯の話をしたいときは、「チャハーン」と言ったりする。しかし、究極対至高の時に団社長が「今回はチャハーン対決とします!」って言いだしたらこれはもう完全にコラである。(コラって怒ってるわけではなく、コラージュの略です)つまり使わんやろって言ってる。トゥクンはそういう意味ではチャハーンじゃあなかったのか? というのが俺の主張。感想。で、だとしたら、心臓が高鳴ると言ったらトゥクンだから……というのには、一定のエクスキューズが必要な気もする。

 しかし確かになんかどっかで、わりと「トクン」適合的な場面で「トゥンク」ってるのを見た気がしてて、それだったら問ちゃんが正しい。だからいつの間にか―—と俺は思ってるが、もしかしたら最初からなのかも―—「トゥンク」は正規のときめき表現になっているのかもしれない。老人の皆さんは俺寄りで、若い皆さんは「いやトゥンクはときめきだろ」ですか? 何か意見があったらなんでもお気軽にお聞かせください。

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