歓送迎会を出来てないんですよね。今年。
北海道は世間に先駆けて非常事態をやらしていただいていたので、3月4月のいわゆる別れと出会いのシーズンをなんもなく過ごしていたわけですが、まあ東京とかちょっとあれですけど、札幌は若干今落ち着いてきてて、でそうなると、「歓送迎会されてないのだが?」という声が出てくる。まあ送別会の方は送別しているので直接聞かずに済むが、歓迎会の方は何しろ歓迎してんだから近くにいて、直接聞かされる羽目になる。でまあ、「歓迎されてない」というのはこれは確かに不満だ。それはまあ分かる。
とはいってもさすがにちょっとなんか集まってワーやりました、クラスターの発生です、ってなったら、怒られるんじゃあないかなあという気がする。「ワ―」をやらずに済めるかというと、先週分かったが、できない。酒というのはそういう性質のものだから。
というわけで、こういうことを考えた。送別した人たちにはライン送金かなんかで、身近な人には直接、5,000円くらいの金を渡す。で、この範囲で酒と食い物を用意してもらう。そんで、Zoomかなんか使ってオンライン飲み会をする。
「金を渡す」部分で「歓送迎」の気持ちを表すわけ。数百円の誤差は着服して良いが、基本的にはこの金は「酒」と「食い物」に使うべき金で、他のことには原則使ってはいけない。どうだ。
でそうするとおおむね好評なようだったので、じゃあまあいんじゃあないか、ちょっと調整進めてよって適当に投げてたら、こういう質問が来た。
「この金でコメを買って調理をしたい場合はどうしたらいいですか」
「どうしたらって、別に買って調理をすれば良いのでは?」
「いやその、例えば10 kgのコメを買ったとするじゃあないですか。そしたらどんなに頑張っても3,000円くらいしますよね。普通にスーパーで買ったら5,000円近くしますよ。で、このコメはもちろん見せられますし、たとえばチャーハンをツマミにして飲むとしたらチャーハンにまではしますけど、残りは見せられないでしょ。でも、実際この5,000円は『ツマミ』に使ったんだから、これはレギュレーション違反ではないですよね?」
これどういう意味の発言か、皆さん速やかに分かりますか?
率直に言うが、俺は本質が善なる人間なので、最初何言ってんのかまじで分からなかった。だからこう答えた。
「別に10 kg買う必要はないと思うが、別にそうしたきゃあそうすりゃあいんじゃあないの?」
したら空気が変わって。
さっきまで、「久しぶりに宅配ピザ食べようかな、宅配ピザ好きなんだよね」とか楽しそうに話してたやつらが動きを止め、こう言う。「……ピザ焼こうかな」「箱も作ってさ、あとあの袋入りのバジルが余ってるから、アレを入れて。Zoomだったら遠目だからいける」
それでようやくわかった。つまりこういうことだ。
歓送迎会はやって欲しい。でまあこの歓送迎会に行ったら、奢られはしたい。これはこれでピュアーな欲求としてはあるが、一方、歓送迎会をやるための予算を与えられ、内容は自分で決めて良いよってなったら、料理は自炊するなどして節約し、この予算はもっと別のことに使用したい。なるほどなーと思って。
まあだからもうこれは選手権にするしかないなと思って、いいことにした。
ピザは自分で焼く。または300円くらいで買ってくる。そんで、段ボールで箱を作って、それに印刷した「ピザハットっぽいガラ」を張り付けて、さもピザハットから注文した風を装う。それで審判(俺たち出資者側)が騙されれば、ピザハットの「クワトロフォルマッジ代」から「その自炊で要した金額」を差し引いた分を着服できる。
どこからかワインボトルを入手してくる。セイコーマートなら500円で買える。それで、まあそれらしいラベルを自作して、キレイに貼る。まあぶっちゃけこれは、なんなら張替えなくても分からない説がある。下戸であれば、ワインボトルや日本酒ボトルに、緑茶とか入れて、すげえ高い茶を買ってきたということにしてもいいですね。この辺なんかやりやすそうよね。キレイに貼る部分がうまくできれば。
こういう「オンライン飲み会代金着服選手権」を近く開催します。こっちは善意で提案したのにこういう選手権になってしまうあたり、人間は本質的に邪悪なんだなと思いました。