先ほどの話なんですが、絶対間違えられない、は言い過ぎですけど、まあまあ間違えると面倒くさい書類がありまして。そんで、年月日を書く欄がありました。ありましたというか最序盤でした。
つまり、
「(直すの面倒なので)自動化した処理に任せてるわけではなく、きちんと意識的な処理をしようとしている」かつ「(最序盤なので)その意識が持続していることは確定的に明らか」ということです。
で、令和◻︎◻︎年◻︎◻︎月◻︎◻︎日 ってあって。これ令和「元」ですか? って聞いたら、いや、01と入れてくれと。はい了解でーすって、
令和01年◻︎◻︎月◻︎◻︎日 の、◻︎◻︎月の最初の◻︎に、「2」って書き入れましてね。時が止まりましたよ。こういうことで時止め能力って発現するんですね。
ふと気づくと目の前になんか半透明の人型の何かがいる。何かはこう言う。
「我が名はタイミング・スタンダード。世界の時を統べるもの。【盟約】によりお前の力になろう」
「め……【盟約】?」
「そうだ。かつて我々はお前たち人間に救われた。その恩返しと思えばいい。世界の危機が訪れた時、「月」の二桁めにありえぬ数字を書く。それが合図だ」
「あー、ゴルゴ13的な」
「その、的なやつだ」
「えっでもいません? 月の二桁めに2って書く人、間違って」
現に俺がそうであったように。そう思いながら俺は尋ねた。
「いない。ありえぬ数字と言っただろう。ただ「2」と書くだけではダメだ。例えば年月日の年がなくて、2019と書こうとして間違った場合には【盟約】は果たされない。ありえる数字だからな。しかしお前はもう年を書いているし、令和元年か01年かも尋ねている。
「もちろん同じ理由で日付と間違ったという場合も果たされない。果たされないが、そもそも今日は30日、どこにも2の要素はない。
「さらに言えば月にはそもそも20月とかない。唯一ありえるの2月の前に0を抜かしたケースだが、今10月だし。今日の日付に2要素一個もないうえに、少し気を引き締めて書いた書類の最序盤に月の二桁めに2ってあるか?」
ぐうの音もでない正論とはまさにこのこと。仕方なく俺は世界の危機と戦う盟約を果たすことになったのであった。
というのはまあ、嘘なんですが、二桁めに2と書いたのは本当で、だからさあ、こういう「知らない人は絶対やらないこと」を契約のトリガーとかにしちゃダメだよなって思いました。やっちゃうやついるもん。特に理由なく間違うやつ。