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僕はアリバイ工作ができない

 これも純粋脂肪批判に書こうと思っていたんだけど、パンプアップに感動しすぎたので書きそびれたんで、こっちに書きます。

 知人がいて、こいつがちょっと出張に行くんだけどスーツケースが壊れてるというので、別にヨドバシでもイオンでもホーマックでも売ってるべやと思いながら、スーツケースを貸すことにして、俺はなんて親切な人間なんだ、この善行によって地獄に落ちた後スーツケースが天から降りてきて、降りたところでどうしようもないなって嘆息することになったりしないかなって思いながら、スーツケースを持って家を出る。
 この知人の家はジムに激近なので、ジム用品もスーツケースの中に突っ込んで、まあスーツケースは家においてやる。でジム用品を持ってジムに行き、そんで運動しよ。って思いながらとぼとぼ歩いてたら、俺を追い抜いてった自転車の乗り主が顔をガン見してくる。このスーツケースを貸すのとは別の知り合いだった。

 で、おおって挨拶して、ちょっとなんでスーツケースをひきずってんだみたいなことを話ながら歩いてたんだけど、いや良く気づいたな? って思う。俺の家はどっちかというと西の方で、この辺に住んでいるわけではない。そんな普段から奇抜な服装をしているわけでもなく、この日もおとなしい服を着ている。たまに襟を立ててしまうことがあるが、その日は別に普通にしていた。まあ太ってはいるけど、俺くらいのデブなんて札幌には売るほどいる。
 で、何しろスーツケースを引きずっている人間ですよ。これが対向方面から来てて顔が見えたらわからんでもないが、そんな、知り合いだと思うか? わざわざ顔を覗き込むか? ってちょっと思ったんですよ。

 したら、「いや歩き方が変だから」って言われる。それ良く言われるんだけど、俺自覚していないんですよね。何しろ生まれた時に7歩歩いて「天上天下唯我独尊」って言って以来、33年間、別にこれが普通だと思って歩いているからさあ。歩き方ってどっちかっていうと生得の力でしょ。トレーニングそんな関係ないでしょ。階段の無い平屋に監禁されて育ったって(ゲゼルはそんなことしていない)、時期が来たら階段は登れるようになるわけで、問題になるのはこれレディネスであってトレーニングではないやつでしょ。歩行だよ? 歩行でそんなバレることある?

 いやだからね、俺が頑張って見た目の似た人間を探し出してですよ。こいつを旭川とかなんかその辺に送り込んで、路上大食いパフォーマンスかなんかをさせる。思ったより食えねえなあのデブってそいつが罵られているスキに、札幌でおいしい肉かなんかを盗む。で、容疑者としては当然札幌中のデブがあがるわけだけれども、俺には鉄壁のアリバイがある。その時間、俺は旭川の路上で山盛りの餃子を食べてました!

 で完全犯罪成立、やったぜ、って思うんだけど、その旭川の俺の影武者を記録した動画が残ってて、そっちはめっちゃ普通に歩いてるんですよね。で、お前こうやって歩いてみろやオラオラみたいなことを言われて、そう言われても俺は俺の歩き方が普通だと思ってるからさ。「普通に歩く」ということができず、あえなくお縄になる。悲しいな。

 これはどこの筋肉鍛えれば正常化するんですかね。でも赤子だってできることですからね。どうすりゃいいのか分からないでいます。

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