創作論みたいな見出しだ! 妙に嬉しく、そしてどこか気恥ずかしい感じですが、すいません、お化け屋敷の感想です。
先日お化け屋敷に行きまして。行きたくなかったんですよ。別に怖いからではなく、逆で、あんま怖くなさそうだからと、脱出病棟Ωですら、映像は美麗だし、仮想空間だからやりたい放題なのに、ちょっとコンテンツとして今ひとつだったので、現実がそれに勝てるわけねーだろと思ったからなんですが、まあ行こう行こうと言われてやむなく。
でそのテンション低い状態で行ったのもあって、これが酷くてねえ。そんな怖くないし、キャストの演技ってかキャスト自体が「キャストだな〜」って感じだし。あまつさえ、こっちが盛り上げようとして、これはこういうことなんじゃない? とか意匠について話し合ってたら、「先に進んでください」みたいなアナウンスが入るんですよ。お前らよぉ。それはシステムで縛れよ(後ろから霊がおっかけてくるとかさ)。脱出病棟すらそれはやってたぞ。声で言うなよ。
でもね、唯一興奮したシーンがあって、それは何かというと、まずそもそものストーリーなんですが、婚約者がいる女がいましたと。で、その婚約者を殺した男がいて、そいつに騙されて女は結婚しちゃうんですが、婚約者が庭から出て来ちゃう。そんで、女はキレるわけですが、あるアイテムで心が縛られてて、そのアイテムを外すために絶食し、衰弱死してアイテムを外して、その恨みで怨霊化し、男を殺して呪いの館にしちゃいましたテヘペロみたいな話なんですよね。なぜ突然のマジックアイテム、って思うんですがそれはともかく、その前提で館に入るやないですか。そうするとね。館の中で、「婚約者からのメッセージ」が出てくるんですよ。「女は俺のものだ、誰にも渡さない」みたいな。
これはおかしいでしょ? つうのは、この館はあくまでも「女の呪い」で成立してるものであって、男は単にとり殺されてるだけのはずだからです。で、思ったわけですよ。外界に伝わってる、「女が男を呪い殺した」というのは、あくまで伝聞であり、実は(マジックアイテムが作れるくらいだし)男の方が黒幕で、女はとことんまで被害者。そんでその男を除霊かなんかして、女の魂を救う。これか! それならいいどんでん返しだし、ストーリーにも重みが出る!!
って無理やりちょっとワクワクして進んだんですけど、普通に女が呪ってましてね。男は出て来ませんでした。あと最後に完全に蛇足の一びっくりがあり。やっぱ全然ダメじゃねーかって思ってがっかりしたという話なんですが。
お化け屋敷の怖さが足りない的なことはまあいいですよ。こっちもいいトシですからね。も少し幼かったら普通に怖いのかもしれん。
ストーリーがよぉ。素直に女の呪いで行くか、男を匂わせたら、そこを伏線にして、「真相を解き明かした!!」って感じにしてくれればさぁ。まだね。
いや世の中には、「それそのもの」に価値がある話とか、文とか、そういうものがあるのは分かるんです。で分かる人にはそれも分かるんでしょう。でも世の中そんな感性豊かな人ばっかじゃあないですから、ましてカネを取るわけですから、バカ向けにもなんか満足感ってか、達成感を齎す仕組みがあってもいいと思うんですよ。それが「謎とその解決」だと思うんですよね。その一つの極北はリアル脱出ゲームで、これはだから好きなんですけど(話自体も結構面白いと思うんですよ)、謎と解決という、ある意味お手軽な満足感を設定しないなら、スキっと強力な呪いで済ますか、ほかのクオリティはあげてこいやって思うんですよね。余計なことすんなと。余計なことをするなら、ちゃんと「解決」しろやと。
まあ俺も一個「解決」してないまま放置してる話があるので人のことは言えないんですけどね……テヘペロ……でもカネはとってないから……。