とてもとてもとても悔しいことにこの質問の著作権は俺にはない。askでどこかの誰かが俺にした質問である。この質問さぁ。すごくないですか?
まず一瞬、軽微な混乱が発生するわけですよ。「言いたいことは大変よく分かるが、お前焼き鳥って限定かけたらモモかカワかそんくらいしか答えようなくないか」って思う。そうですよね。ところが、じゃあってんで豚串やもちベーコン、ししとうなんかを適切に含めて問う方法はあるか? って言われるとこれがなかなかに難問なのである。
一番シンプルなの、「串焼きで好きなのなんですか?」ってしてしまうと、これは魚が邪魔をする。「やっぱ鮎だよね〜」とか言われてご覧なさい。空気が変わるでしょう。今俺らそんな高尚な話してないんすよって気持ちになる。俺らは魚を炭火で焼いた物を高尚だと思ってしまうくらい、レベルの低い話をしてるんだよ。わかるか?
さりとて、「一口サイズに切った食材を串に刺して調理するもののなかで汝なにをこれ好むか」とな言われても、なんかさあ。くどい。質問が。しかも「おでんの牛すじかな〜」とか言う奴が出てくるでしょ。今その話してねーから! おでんの牛すじは好きだけどそれは好きなおでんのタネは何? の時にする話だろうが、なにもわかってねーなおめーは、そういうとこだぞカクヨム。
いや俺も代替案はないではないんですよ。「串鳥で好きなのはなに?」これはわりに良い質問だと思うんですね。まああそこは基本串で焼いた今俺らが問いただしたいそのそれがメインで出てくるじゃあないですか。
ただ懸念はないでもない。「あのお通しで出てくるスープかな〜」とかいのいちで言い出す奴が出てくる可能性がある。あのな! それはなぁ! 「やっぱモモでしょ、しかも塩」「いやいや、通はししとうだよ、アレのたまに入ってる辛い奴がうまいんだよなぁ」「いや俺はシイタケも好きなんだよ」「わかるわー、なんか家で焼くのと違う気がするよね」「いやいやお前ら大人ぶりやがって、ほんとはつくねが好きなんだろ?」「うわーすいません、つくねは好きですー」くらいまでやってから、「いや実はさ、串鳥のお通しのスープが結構好きなんだよね」であって、最初にそれを言うのはなにもわかってないんですよ。
とこのように考えると、やっぱこの質問が究極に聞きたいところをぱっきり区切って聞いてることがわかるわけですよ。「焼き鳥で好きなネタなんですか?」って。他に聞きようがない。考えてみるまでもなく、函館の焼き鳥弁当は豚串ですから、焼き鳥の中に豚串がカテゴライズされるのはこれ当然というか自明と言っても良いわけで、質問はなに一つ間違ってない。
すげーなーと思ったんですよね。月見つくねが好きです。