ハンドブレンダーを貰いました。
前々から興味はあったんですが、まあなんか買ってもなー。これ以上調理家電増やしてもなあ、俺はどうせ料理なんてそんなしないし。最初だけ盛り上がって使わなくなって、でもそこそこでかいから邪魔になって、結局諦めて外食をしてただ太って死んでいけばいい、みたいに思ってたんですが、結構気になっていたようで、どうやらひとに会うたびにハンドブレンダーの話をしていたらしい。俺はアレですね、「ア、アイツのことなんてぜんぜん気になってねーよ!」って言いながらめっちゃ「アイツ」の話をして、すぐ好きなことがバレるタイプ。
とにかくそういうわけで、もううんざりだお前の話は、洗濯機を挟んで設置するメタルラックは自分で買え(コレもずっと買おうかなー、でもなーと言い続けているらしい、僕は心から申し訳ないと思いました)と言われて、貰ったもの、なんですけども、いやうれしかったですよ。うれしかったんですけど、ちょっと今色々あって、不可避的な外食が多かったり、あとそうでないときも、ちょっとばたばたしてコンビ二飯を解禁してしまったり。今夜はてづくり気分じゃあ足りねーよ! みたいな気持ちになったりしてしまって、あと皿も洗ってないので台所が結構終わってて、ハンドブレンダーでなんかを砕く余裕がなく。
でずっと開封してなかったんですが、日曜日の深夜、「この休み中に開封しなかったらこのまま一年眠るだけだ」と思って、台所綺麗にして、冷蔵庫に眠っていたたまねぎ一個、とりあえず皮を剥いて八つ切りにして、軽く煮て。
で取り出して説明書読んで、なんかうーん、1分以上連続で使用できないとか、なんだよ結構面倒くさいこと言うな……1分使って30分休めるとか、今のポータブル掃除機と同じじゃねーか……。はーあ、どうせ大して砕けないんでしょ。はいはい。
って思いながらセットしてスイッチ押して、ぶおおおってやったらですよ。
たーのしー! すごーい!
めちゃめちゃ一瞬でたまねぎが粉々になる!! びっくりする。
で塩とコンソメ入れたらオニオンスープになる!!!!
塩入れすぎてしょっぱかったんですが、朝薄めたらちょうど良くてうまかった。そいで、「じゃがいもなど水分の少ない野菜はやめてください」って書いてあるんだけど、まあいけるでしょって思ってジャガイモ、これに至っては皮すら剥かずに(芽は取りました)煮て、ちょっと潰して牛乳とバター足して、塩入れて、ぶおおおってやったら、うわああああできたああああ芋ポタージューーーーー!!! ってなるんです。
これはねえ、スゴイですよ……人類はここまで来たか……。
それで今俺はとにかく野菜を粉々にしたい。粉砕したい。そういう気持ちでいるわけです。たまねぎすらスライスしたりすんのが面倒であまり買わないし、買ってももてあましていた(だから冷蔵庫で眠っていた)昨日までの俺はいない。皮だけ剥いて適当に煮ればもうあとは粉砕可能。にんじんもいいよね。にんじんは皮むきがややめんどい予感はあるけど、ちっちゃく切ってとかそういう余計なことは言わんで良いだろう。葉物なんてもう絶対楽勝でしょ。なすびとかはどうなのかな、あれは粉砕しない方がおいしいんだろうか。トマトは? ホール缶は便利だし安いから勝てない気がするけど、一回生トマトを砕いてやりたいような気もする。
これまで野菜ってどうしたらいいかわからないと思っていた俺が、一夜にして、各種野菜を買ってとにかく砕きたいと思っている。今日はエコバッグを持って出てきてますからね。
本当の猟奇殺人犯の皆様がどういうアレでやってるかはわからないのですが、いわゆるところの猟奇殺人犯、フィクションの猟奇殺人犯の気持ち、テンプレの猟奇殺人犯の気持ちはちょっとわかっちゃったなーと思ったんですよね。
やっぱ人を殺すというのはもちろんタブーですよ。あんまりやらない方がいいことだし、どう考えても億劫じゃあないですか。でも、例えばそれをやって、こう、わかんないけど肉をミンチにして捨てるとか、骨を上手く外すとか、そういうのがうまくいって、「ウワーできるわこれ」って思ってゾクゾクする、破壊すること自体に快楽を見出すというんですかね、俺ちょっとわかるなあその気持ちって思ったんですよ。やるとは言ってませんよ。
その、「えっこんな一瞬で!?」って快楽が絶対あると思うんですよね。「あんなに偉そうだったあいつも、頭を殴ったら一瞬で黙るんだ」みたいな、これは征服欲とか加虐欲になるんですかねえ。そういう気持ち。えっさっきまであんなに存在を主張していたあのたまねぎがこんな一瞬で粉々に!? みたいな。分かるわー。いやその行為が「良いと思う」かどうかとか、「しようと思う」かどうかとは別ですよ。ただ分かっただけ。
それともう一つ分かったことがあって、台所の壁にコンセント(プラグ)があって、なんでこんなとこにあんだよ、床側だったら延長延ばして使えなくもないけど、ここにあってもなーって思ってたやつが、こういうハンドブレンダーとかミキサーとか、電源とって使う調理家電用だということに気付いたんですよね。気付いたというか、知ってたんですが、もうそういう生活から離れて長いので、再認識したというか。
それで、俺の実生活にはいないんですけど、こう、なんかスラムダンクで、「アイツなんであんなとこにいんだよ、どんくさいな」って思ってたんですけど、ハンドブレンダーを壁のコンセントに挿したのがきっかけで、「もしかしてアイツは、俺のパスを受け取るために――」って気付くみたいな話があったじゃあないですか。ハンドブレンダーのくだりは完全に嘘ですけど。
そういう、「ああ、このためにあったんだ!」「そのためにアイツはあそこに立ってたのか」って気付く、気付くもなにも「あそこに立ってるアイツ」はいないんですが、わかりますかねこの感じ。ハンドブレンダーの差込プラグを通して、「アイツはどんくさいと思っていたけど、本当は役に立とうとしていたんだ」って存在しないアイツに対して気付いたんですよ。面白かったですね。アイツが存在してればもっといい話だったんですけど、残念ながらアイツが存在しなくて、そこだけは惜しかったです。
皆さんのおススメ粉砕野菜スープがありましたらご教授ください。