インフルをひく、とは言わないじゃあないですかって言うか、風邪を除く全ての病気で「ひく」とは言わないじゃあないですか。なんで風邪だけひくんですか?
可能性1:実は我々は、意識できないが日々健康ガチャみたいなのを引いている。で、「風邪」を引いたら「風邪状態」に移行してしまう。このガチャったこと自体は巧妙に隠蔽され、記憶から消えているが、「うわーひいちゃった、風邪」という感覚だけは潜在意識に残っており、それで風邪をひく、と言う。あるいは、今はもう廃れてしまったが、昔は村に病が蔓延しないよう生贄をささげるみたいな風習があって、まあクジを引くわけ。で、「風邪」をひいたひとは、裸で吹きっさらしの中、具合が悪くなるまで寝てて、そいつが町の病を引き受けるみたいな。その儀式は非人道的だし効果もないので廃れたが、言葉だけは残ってる的な。
可能性2:「ぶえっくしょおい! いやあご隠居、なんだかあっしはおかしいんでさあ。こう、急に大きな声を出しながら息を吐き出したくなったり、鼻から水が出たり。かと思うと体がぶるぶるって震えたりするんです。あっしはどうなっちまったんですかい?」
「ああ、それはねえ、風を引き込んだんだな」
「風を? 引き込む? 風ってのはぴゅうぴゅう吹くあれですかい?」
「そうさ。たまにのう、邪な風っつうのがあってだな、こいつは風のくせにだらしがない怠け者で、外にいると寒い、なんつって、人の体の中に入るのよ。お前さんはそいつを引き込んじまったってわけだ」
的な。的ななんか。
可能性3:古来人体には風・水・火・土、それぞれに正・中・邪があると言われており、これはそれぞれの要素が拮抗しあって人間が構成されている、そのため、「邪」の要素であっても失われると体調は崩れる。たとえば水が外に出てこうとするとか。体の中の火が暴れるとかね。
でまあ、そういう状態として、「風邪を引いた」(ここでの「引く」はマイナスの意)とみなして、なんか漢方のアレがみたいな、そういうことが由来。
「お前さん、グダグダ言ってないで調べりゃあ良いだろう、辞書でもなんでも」
「いいえ、それはできません」
「なぜだい」
「辞書で風邪を『引いちまう』ことになるでしょう」
おあと、あんまりよろしくないですか? なんとかよろしくしてやってもらえませんか???