こもごもももももものうち、って感じの響きがありませんね、すいません、「交々」って書くの知ってました? 俺は今変換候補に出てへーって思ったんですけど。
こもごも。多くのものが入り混じって、次々に現れる様ということなので、たとえばなんかヤバイウイルスが拡散して、一度死んだと思った人たちがゾンビになってこもごもに町を徘徊している、というのはアリなわけです。ちょっとかわいい雰囲気になっちゃう気がしますけど。
「それではこのあと、こもごもに素敵なキャラクターたちが登場しまーす!」
言わないか。こもごも。響きは(かわ)いいのと、あと回文に使いやすいですよね。回文というのは一般に、濁点半濁点は無視してよいということになっているので(「な「が」きよの とおのねぶりの みなめざめ なみのりぶねの おとのよきかな」)、こもごも、があると、「もこもこ」とか「もごもご」が使えるわけですよ。便利。
という話はどうでも良くて、まあこれからする話もどうでもいいんですけど、ちょっといいイアホンをちょっと前に買って、で、それをちょっと前からぼんやり失くしてたんですよ。ぼんやり失くす、って説明が難しいんですけど、家には絶対あるんですね。でもどこにあるかがわからない。「溶ける」とも呼んでますが、その状態で。
で、ここしばらく結構一人ないし二人でむむむむってずーっと画面とにらめっこ、みたいなことをしているので、ちょっとゆるーく音楽流しておきたいなって思ったんです。まあ、覚醒水準の調整っていうか、区切りもつけやすいし。それでまあ一人のときなら完奏からなんぼ劇伴流してても誰も文句言わない、言うとしたら俺で俺が流して俺が文句言い出したらもう末期じゃあないですか、たまにやりますけど、今はそこまで末期ではない。ただ二人だと好き勝手はやれないのでイアホンは欲しい。でもちょっといいの買ったから1000円ちょいのとか買って使わないのももったいない気がする。さりとてもう一個ちょっといいの、「予備で」とか言って買うのもばかばかしい。どうしようかなあ。
って思って、百均でイアホン買ったんですよ。したらちょっと笑ったんですけど、テレビ用のイアホンって言うんですかね、めちゃ長いんですよ。5メートルくらいあるんですコードが。まあこれはこれで便利で、部屋の端で充電しながらイアホンだけ伸ばして聞けるっていう技を開発したんですが、見た目が異常なことを無視すれば、ついゲームとかもしちゃわないしわりといいんですよ。
ところがですね、このイアホンコードが長いので、座って耳に刺してるときはまあいいんですけど、ちょっと休憩行ったりして戻ってきたりすると、なんかこう、先端がどっかいっちゃう傾向にあるんですよね。傾向にあるっていうか、俺がだらしないだけなんですけど。携帯につける普通サイズのだと携帯ごと持ち歩くんで先端はなんだったら耳に刺しっぱなしなわけですが、5mだと流石にはずすので、したらなんかどっかいく。
それで「悲」の方ですけど、なんか、席に着こうと思ったら、あれポテチでも踏んだかな? みたいなかるぅいサクッとした感じがしたんですよ。で足元見るじゃあないですか。見たら右耳のイアホンがこなごなに砕け散ってて、これは俺がデブだからなのか、それとも100均だからなのか、そんなことをしばし考えて黙祷をささげたりしていたんです。
で、うーんまあとりあえず掃除だなって思って、粉ったやつを集めたいんですけど、結構粉ってて、ちりとりと箒一体化したセットを取り出して、さっさっ、集めたあと、ウェットシート的なやつでこう、吸着って言うか、ふいとこーって思って、ウェットシートの入っているパック(ちゃんとぺりってなる蓋がついているやつ)を持ち上げたんですよ。
その下に俺のイアホンがあったんですよ。なんで?????
いやうれしかったんですよ。あった! って思って。これがだから「喜」の話です。なんかこう……長年飼っていたペットが死んで墓に埋めたら、すごい似てるやつがその墓の前にいたみたいな、いや百均のイアホンはぜんぜん長年でもないし、主にコードの長さとか似てもにつかないですけど、なんていうんですか、生まれ変わり、輪廻転生、人生万事塞翁が馬、そういう感じ、運命は巡り始める、なんかそんなことを感じたわけですが、なにが「家には絶対あるんですよね。でもどこにあるかがわからない」だ、って思いましたよね。ここにあるじゃん。だから俺が溶けたと思っているあれこれも、過去を捏造しているだけで、家になんて最初っからなかったのかもしれない。そういうことを思っています。