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インスタグラムの話

 インスタ面白い期(でも入りびたるに至るほどではない)に突入してきているので、ちょっと何が面白いかを説明してみると、今の俺はインスタ3アカウント持ってまして、といっても稼働しているのは一個だけで、でこの一個のアカウントは本当に謎のアカウントなんですね。

 そもそもは一応普通に一個アカウント持ってて、で、これは特にウケもせず、どうしようもねーなこれって感じだったのでインスタ何が面白いんだろって思ってたんですが、鶴見ちゃんが「女子大生っぽいインスタをはじめる」と宣言して、???って思ったんですが、まあインスタの主戦力って女子大生とかモデルやないですか。そういうのをエミュって見るっていうのはこれ結構面白いんちゃうんかなと思って、俺もやってみたわけです。

 で雅島貢名義で女子大生っぽいインスタを始めたわけですが、そうするとこれは前も書きましたが結構野良いいねがつく。ツイッターとかフェイスブックとか、あとカクヨムとか(俺はカクヨムを「SNS」に分類しています)ってあんま気軽にはいいねつかないと思うんですけど、スタバに行ってゆずシトラスティーとか撮って軽いポエム(なんでもない日常をキラキラの一日に☆彡)とか書くだけで野良いいねがつくわけですよ。大したもんでしょ。

 でまあいろいろやってたし、あと架空日記を書いたりおしゃピクをしたりしていたわけですが、リアルな知り合いの女子大生(インスタグラマー)にちょっと教えを乞うてもう一個アカウントを作ったわけです。さすがにこの子に「雅島貢」ってアカウントを見せるわけにはいかない。意外に思われるかもしれませんが、俺にも人並みの羞恥心はあります。

 でそっちのアカウントは、リアルの人間関係と繋がりがあるので、結果的にカクヨム界隈で晒せなくなり、じゃあなんのために存在しているんだこのアカウントはって感じになってるんですけど、こっちはもう俺もぶっこんでやるという気持ちでいっているので、そのインスタグラマーの女子大生経由での知り合いも含めて100人くらいフォロー/フォロワーがいる。たぶん本気で増やす気になればもっと増えると思うけど、まあ正直もう手に負えないのでそのくらいにとどめている。

 で、ちょっとしたおしゃれ写真とかをアップすると、30~60いいねくらいがつく(最強はやっぱおしゃピクで、今63いいね)。結構瞬時につくんですよ。ってことは、彼ら/彼女らは、わりにずーっとインスタを見てるということになります。我々がずっとツイッターを見ているのと同じくらいの頻度ですねたぶん(勝手に「我々」にしてすみませんが)。

 でもツイッターは色々なメディアがあるし、何しろ文章が中心なので、読んでこうちょっと笑ったり、考えたり、そういう面白みがあると思うんですが、インスタはコメントはほぼおまけ、あるいはポエム、友人や恋人を称える言葉しかなくて、まあすぐ飽きるわけですね。じゃあなぜ続けてるのか。いいねがつくから? まあそれもあるんですけど。

 すごい日常会話のとっかかりになるんですよこれ。
 
 リアル知人にも、「こういうアカウントを作って、女子大生風のインスタやってるんだよね(お前に本当に羞恥心はあるのか)」って話すると、それでひと盛り上がりして、で、フォトジェニックな飯とかケーキとかが出てくると、「いんすかインスタ撮らなくても」って一声がかかる。ちょっときれいな景色があると、「インスタチャンス来てませんかこれ」みたいなことを言われる。

 突然話が変わりますが、人間ってそもそも対人間的コミュニケーションあんま得意じゃあない生き物なんだと思うんですよね。
 たとえば赤ちゃんって、最初は自分の身体で「遊ぶ」わけですね。指を吸う。「なんだこの感覚は! 面白い!」って思ってまた吸う。「なんて新鮮な感覚だ!」ってなってまた吸う。すげーつまんねーわ、って思うけど、最初はそうなわけです。でじゃあ次は他人かな? って思うとそうではなくって、モノなんですよね。「なんだこれは! 振ると音が鳴る!! 斬新!! ぱねえwwww」みたいな遊びに移行して、人と遊んで楽しいねってなるのは更にそのあとなわけです。

 つまり、何が言いたいかというと、対人コミュニケーションの前に、モノを介してなんやかんやする、って方が楽だし楽しいんだと思うんですよ。インスタはその仲介になる「モノ」の機能を果たしているんじゃあないかなと思うんですよね。

 という視点でインスタを見てみると、マジでインスタを運用している方々、あんまりバズるとかそういうことを考えずに、コミュニケーションツールとして利用している人たちはまず第一に友人・恋人とのフォトジェニックな写真を提示するんですよ。これはほんと半端ないなすごいなって思う訳ですが、彼ら/彼女らは臆面もなく愛と友情を語って、そんで素直にみんなそれに「いいね」をつける。俺もたまに見かけたときはつけている。皆さんこんなことツイッターで出来ます? できないでしょ? フェイスブックでもちょっと怖いですよね。でもインスタはそれが自然なわけですよ。

 で、本インスタ(インスタのタイムラインのことをここでは本インスタと呼称します)に投稿する写真は、そういう感じで、ある程度厳選したり、非日常的なものであるわけですが、では日常は? というと、ここでストーリーが出てくるわけですね。ストーリーは、(原則的に)撮影後24時間以内の画像・動画のみを提示できるサービスで、ここに挙げたものは消えていくわけです。消えていくので、もうちょっとカジュアルな、気楽な自撮りとか、日常の一コマを提示することができる。

 我々の人生の主人公は我々自身じゃあないですか。で、なんだかわかんないけどちょっと面白い瞬間というのは我々にもあって、でもその「面白さ」っていうのは、誰も切り取ってくれないわけですよ。これがドラマだったら、マンガだったら、小説だったら、その「日常の一コマ」すらも切り取ってもらえて、わー面白いねすごいねおしゃれだね、ってみんなが言ってくれるわけですけど、我々が感じている「面白さ」と、その話を聞いてくれている人が感じている「面白さ」ってどうしても一致しないじゃあないですか。例えていうなら「すげー面白い夢を見たんだけど」って話をしている時と同じように。

 ところが、インスタのストーリーを使うと、その「夢」が共有できちゃうんですよね。日常の何気ない、でも面白くて最高のひと時を、24時間限定で「切り取って」、そんでそれを提示している人にとっては、それが一種の「主役」になってる、「主役」「主人公」であることを確証している瞬間っていうか、なんかそんな感じがするんですよね。で多少なり動画に工夫したり、究極「逆再生」って機能がついてるのでそれを利用するだけで、それを見てるその人の知り合いはちょっと面白いわけです。だから誰も損していない。とてもすごい世界だと思うんですよ。

 つまり、我々は対人でなんもないところで、「こんなおしゃれな体験をしたんだよ」「こんなに楽しい日々を過ごしているんだよ」って話はなかなかできないししない。しないことになっている。その方が良いマナーということになっているし、現実的にその話しても、あんまりウケない。でもインスタというモノを介せばそれができるし、それが普通だし、それに承認までついてくる。ウケるわけです。ここが面白いんじゃあねーかなと思うんですよね。どうでしょう。

1件のコメント

  • 野良いいね に大笑い(笑)

    ちなみに私のインスタは飯が7割、本が2割、他1割くらい
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