たぶん小学生くらいの頃だと思うんだけど、夜寝る時に、目をつぶってるんだけど目の前にチェック柄が流れることがあって、決まってその時は不気味な女の顔が見えた。今となってはどんな顔だったか思い出すことはできないけれど、別になんかどっかが潰れてるとか爛れてるとかそんなんではなかった気がする。けども、とにかく不気味で、だからその状態に陥ったときは目を開けて、で目を開ければ女は消えるんだけど、目を開けると眠れない。なので目をつぶると、またチェック柄が流れて女が見える。なんなんだよ、と思っていた気がする。
ただそのとき俺は、「これは良くある現象」と思っていた気がする。たまに目を閉じたら薄気味悪い女が浮かぶのは、世間一般でしばしば見られる現象だと思っていた気がする。誰かに言われたのかもしれない。「よくあるよ、そんなこと」とか。で、まあ当たり前だが他人の主観を体験することはできないので、そんなもんか、なんか気持ち悪いけどまあ良くあるんなら仕方ねえか、くらいに思っていた気がする。
で昨日の夜、夜っていうか昨日実はほとんど寝てなくて、というのはここ数日別にそういうつもりはなかったけど結果的にデカフェ生活になってて(プーアル茶を飲んでたんですよ)、で昨日たまたまコーヒーを飲んだのである。なーんか元気だなー？ とか思いながら色々家事したり、作業したり、成香ちゃんのやつを今までのあらすじ書いて力尽きたりして、まあ力尽きたので朝方だけどちょっと寝ようと思った。で目を閉じたら、目の前になんていうのかなぁ、フラクタル図形みたいなのが光って。あらこれは高血圧か、いやでもあのチカチカする感じとは違うよなぁ(高血圧の時って目の前にチカチカ光が飛びますよね？)(デブあるあるなので通じないかもしんないと思いつつ)、とか思って、まあなんか視神経が活性化してんのかなとか、眼球の接触刺激に過敏に反応してんのかなとか、そんな理屈だったことを思って、そんで唐突に「あの女」を思い出した。顔は思い出せないけど、ずっと「女」が浮かんでいて、その度目を開けていたことを。
いやいやいやいや。ねえよ。良くあることではないよ。そもそもなに、目をつぶると目の前にチェック柄が流れるって。まあ百歩譲ってそれは、今俺がそうであるようになんかで神経系が昂奮してわけわかんないことになってるとしよう。女ってなんだよ。不気味な女ってどういうことだ。
長じてからは「出会った」ことがないのですっかり忘れてたけど、でも「まれによくある」というか、頻度は低いけど長期間その現象は起こっていて、で、だからこそ「そんなもんでしょう」くらいに思ってたけど。
あれ誰なんですかね？
聞かれてもだとは思うんですけど。