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なんか最近澤口先生が妙に優しい。正直キモイ。コーヒーとか自分で淹れるようになった、のはいいんだけど、豆挽くの下手すぎるから結局掃除するのはあたしだし。
それはともかく、研究のことにも前はうるさいくらい口出ししてきたのに、今はぜんぜんだもんな。気楽は気楽でいいけど、それはそれでちょっと困るんだよね。申請書類とかのことはもっとアドバイス欲しいんだけどなぁ。
なんでああなったんだろ? まさかあたしを口説いて……いやいやないない。奥さんいるはずだし。実はこないだ、ちょっと疲れてて、あと珍しい鳥がいたから話半分にしか聞いてなかった時があったんだけど、アレが不機嫌に見えたのかも。うーん、でもなあ。それわざわざ謝りにいくのもなんか違うよねえ。ま、いっか。申請書はセンパイに聞けばいいしね。
7/3
「おい澤木くん、だからさっきから言ってるだろう。第一キミもなあ、そんなんじゃあいつまで経っても助教どまりだぞ。もっと主体性を持ってだね、あと学生にもきちんと研究分担をさせて。もちろん指導もキミの役目なんだぞ? そういうデューティをきちんとこなしてこそ……」
滔々と語る澤口の顔すら見ず、窓の外をぼんやり眺めて、話をまったく聞いていないかのように見えた澤木だったが、ふ、と目をおおきく開いて、澤口の顔を見る。そして言う。
「先生。アカハラですよ」
Wikipedia
アカデミックハラスメント(和製英語: academic harassment)とは、大学などの学術機関において、教職員が学生や他の教職員に対して行う、嫌がらせ行為。パワーハラスメントの一類型。略称はアカハラ。
アカハラ(赤腹、Turdus chrysolaus)は、スズメ目ツグミ科ツグミ属に分類される鳥。古くは、茶鶫(チャジナイ)と呼ばれていた。