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短編集「海」あとがき

 海、というのは非常に興味深いテーマです。人類およびすべての生命の誕生地点と言われつつも、津波という形で数多の命を奪い去ったりもします。すべてを包み込むような包容力がありながら、面倒だからすべてを壊してしまえ、というような投げやりさも感じます。裏と表どころか白と黒くらいに対極なその二つが共存している海というのがどれだけ大きな存在か思い知らされますし、何ならその二律背反がうざったくてやや恐ろしいとすら思わされます。

 というわけで、「海」です。この度は海の持つ二つの面、どちらも均等に取り上げることに挑戦いたしました。限りなく美しい海の中にある、命を奪い去るという三途の川的要素。もしもこの作品にサブタイトルを付け得るのならば、「三途の海」と言ったところでしょうか。

 それでは、この作品の執筆にご協力くださった方への感謝と、読者の皆様への変わらぬ御礼の気持ちをささげて。

2024.9.14 フルリ

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