扉を開けるだとか、手を挙げるだとか、立ち上がるだとか、そういうたぐいの行為にはいつだって勇気がいるもので、そうなると勇気を持ち合わせていない僕なんかにはいつだって最高難易度のミッションであるわけですが、だがしかし世界において称賛される存在の人々は皆どこかでそのミッションをこなしているわけです。となるとやはり、彼らと僕らの違いは才能があるかないかなんてことではなく、ただただ勇気があるのかないのか、足を一歩踏み出せるのか踏み出せないのか、ということなのでしょう。
というわけで、「扉の向こう」です。本作の主人公である凊冬冴は前述のような一歩を踏み出すことに成功したわけですが、その物語の影には失敗した幾人もがいるのです。そのことを考えると、彼女の数々の成功を素直に喜べもしない、というのも一つの考えと言えます。
それでは、執筆に際して数々の助言等をくださった皆様に感謝をささげて。
2024.9.12 フルリ