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【一日四ビク】謎も矛盾もあるけど、ホラーとしてはそこそこ。

 お久しぶりです。
 最近は仕事が忙しくて、Wordを開く余裕も無い有様でした。たまの休みも床に寝転がろうものならそのまま眠ってしまう状態です。俺こんなゴルゴ13みたいな仕事人間じゃなかったはずなのに、いったいどうしてこうなった。
 そんな中、エイリアン:ロムルスを近所の映画館に観に行ってきました。

 ちなみにこの記事、大部分出来上がってたのに間違ってページ遷移した結果全部消えてしまいました。下書き機能くらいつけてくれ頼むから。つか、未保存記事を保存せずに遷移しようとしたら作品ページは警告が出るのになんで近況ノートは出ないんだ。忌々しい、ああ忌々しい、忌々しい。ボルぞう心の俳句。イライラッ

 まあ仕方が無いので、記憶を頼りにあらためて。イラッイライラッ
 最近近所に大型のショッピングモールが出来てその中に東宝の映画館が入居しまして。
 今日はそこに行ってきました。
 東宝と言えばしばらく前にゴジラ-1.0が公開されましたが、俺は当時はゴジラに興味が無かったのでスルーしてたんですよ。アマプラで初めて観て一目惚れしましたが。
 残念ながら近所の東宝シネマも含めてすでに上映してるところなんてほとんど無くて。すでに半年たってたわけですから、やってるところなんてあるわけないんですけどね。
 でも難波の東宝シネマでまだ細々と上映してまして、出来れば一度くらいはちゃんと映画館で観てみたかったんですが(円盤は買った)、都合がつかないうちにすでに終わってました。別に誰が悪いわけでもないんですが腹が立つ。イライラッイライラッ

 二一四二年、初代エイリアンから二十年後、2から三十五年前。
 初代エイリアンの舞台になった惑星(2での呼称はLV-426)の近くの宙域に漂っていた宇宙船、「ストロモ」とだけ読み取れる船名を記された残骸の近辺から、岩の様な塊が無人探査機によって回収されます。初代のラストで自爆させられたノストロモ号は爆発した勢いで四散したはずなので、特定の宙域にとどまってるのもおかしな話なのですが。惑星の重力に引き寄せられて静止軌道に乗ったのかな。
 塊はどこかの施設内に搬入され、そこでアウトブレイクで着てそうな気密性の高い服を着た連中が見守る中、レーザーカッターの様なもので上下に割られます。
 おばあさんが持ち帰ってきた川の上流から流れてきたでっかい桃なら中には玉の様な赤ちゃんが入っているのですが、残念ながらこの岩の中には桃太郎の代わりにアレが入っていました。
 中身が入ったままの岩塊の下半分を載せた代車を押して部屋から出ていく怪しい人たち。あとには弁当箱の蓋の様に取りはずされた岩塊の上半分が残され、それを下から覗き込むと、くっきりとエイリアンの型が残っていました。シリコンを流し込んで複製したら商売になりそう。

 場所、状況、時期から判断する限り、これビッグチャップなんでしょうね。大きなおでこという意味で、初代エイリアンに登場して猛威を振るったゼノモーフです。
 宇宙空間でも生存は可能なはずですが、それでも身を守るために自分の周囲に外殻を作ったんでしょうね。鉱物と生物の中間の存在になって永遠に宇宙空間を漂うことになれば、考えるのをやめた文鎮の商品ラインナップがひとつ増えたのに。

 舞台は変わってハリウッド映画の歴史に燦然とその名を輝かせる超絶ブラック企業・ウェイランドワタm……じゃなかった、ウェイランド湯谷社が所有する鉱山惑星「ジェイソン」。
 主人公はレインという名の女性で、この星で鉱夫ならぬ鉱婦として暮らしています。正確には食糧供給のための農産部門の様ですが。
 父親が残したアンドロイドのアンディと暮らす彼女は、ジェイソン星を脱出して別の植民惑星、ユヴァーガ星系の第三惑星へと移住することを目指していました。
 しかし、おそらくは鉱員の数が減ることを嫌ったWY社の不正な期間延長によってその希望はついえてしまいます。そんな折、レインは元カレのタイラーからアンディともども呼び出しを受けました。
 タイラーは貨物宇宙船でジェイソンを脱出し、ユヴァーガ星系へ逃亡することを持ち掛けてきます。ユヴァーガ星系へ到達するには計算上九年かかり、その間ずっと起きてたら食糧も必要です。
 その疑問に対してタイラーは衛星軌道上に漂着した宇宙船から冷凍睡眠装置を盗み出し、それで冷凍睡眠しつつ自動操縦でユヴァーガ星系へ向かうことを提案しました。
 気乗りがしないまま貨物宇宙船に乗り込み、衛星軌道上の宇宙船へと向かうレイン。
 メンバーはレイン、アンディ、タイラー、タイラーの妹のケイ、タイラーの従兄弟のビヨン、ビヨンの舎妹ナヴァロ。
 たどり着いてみると、目的の宇宙船が宇宙船ではなくなんらかの理由で軌道上にとどまれなくなって漂着した宇宙ステーションだとわかります。
 ロムルスとレムスというふたつの区画で構成されたステーションはまだ機能が生きているらしく、貨物宇宙船は無事にドッキングに成功します。宇宙船側のシャッターの向こうにある出入り口は湾曲した放射線状のシャッターによって封鎖されていましたが、アンディが解除装置に指を突っ込むとシャッターが開きました。
 アンディはWY社製のアンドロイドで、WY社の施設のロックを解除することが出来、それが彼が必要とされた理由でした。
 アンドロイド通用口と書いてあるものの通用口とは到底思えない、人間が腹這いになって匍匐前進してようやく通れる狭い空間を這い進むのは野郎三人。女性三人は宇宙船で待機です。
 ポセイドン・アドベンチャーは水中に大量の死体が浮いていましたが、この宇宙ステーションは死体の代わりに鼠が空気中に浮いています。人工重力装置がオフになっているんですね。
 で、突然その鼠が落下します。誰かの科白によると「人工重力発生装置がオフになっていても、システム上定期的に人工重力がオンになる」とのことですが、せっかくのその知識がなんの役にも立ってません。
 まるでターミネーターのラストシーンのごとく上下の狭い通路を抜けると広い部屋に出て、その隣の部屋にミサイルサイロの様に床に格納された五人用の冷凍睡眠装置がありました。
 早速お目当てのものを見つけてはしゃぐアホふたり。はしゃいでる間にふたたび人工重力発生装置が起動し、三人は床に落下します。
 定期的に人工重力が発生するのが事前にわかってるんなら、開けた空間に出て最初にやることは床に降りることだと思うんだ。はしゃいでる場合か。
 骨折したかもとか言ってる割に、その後普通に歩いてるたぶんビヨン。おまえは町の人に因縁つけるヤクザか。
 富野氏の小説版機動戦士ガンダムでは宇宙ステーションとか宇宙船の中で行動しやすくするために床と靴底にマジックテープを貼っていましたが、実際の宇宙空間だとどうなんでしょうね?

 お目当ての冷凍睡眠装置は無事発見したものの、そのままでは冷凍睡眠装置を稼働させる燃料が足りません。九年間持たせないといけないからね、仕方無いね。
 で、仕方無いので追加の燃料を手に入れるために探索を開始。その途中で、ビヨンは自分の母親がアンドロイドに見殺しにされたという理由でアンディに辛辣な言葉を投げつけます。おまえそれでアンディがへそ曲げたら目的が遂げられないってわかってる? そもそもそれアンディは関係無いだろ。江戸の仇を長崎で取るってやつか。
 途中でスタンロッドの様な武器を手に入れ、なにか妙な動きをしたらこいつで電撃を浴びせるからなとアンディを相手に粋がるビヨン。まるで放水くらいしか抵抗手段が無い捕鯨船を相手に粋がってるシーシェパードの様です。イキりながら後ろ向きに後ずさるビヨンに向かってさっと手を伸ばし、アンディがビヨンの胸ぐらを掴んで引き寄せます。
 冗談だとごまかそうとするビヨンに、アンディは彼の背後の床に大穴が開いており、後ろ向きに下がると危険だと告げました。強酸がしたたり落ちて溶けた様な大穴、そしてそのそばに倒れ臥す下半身を失ったアンドロイド。もう嫌な予感しかしない。
 で、彼ら三人は冷凍睡眠装置に転用が可能な燃料があるという熱管理室という施設へと侵入します。
 熱管理室は膝下くらいまで水没しており、奥の壁際にはなにか謎の物体が並んでいます。
 内部の物体の形に盛り上がった真空パックの様なものが、枠に納められて収納されているのです。もうこの形がアレにしか見えません。もちろん中身はアレです。
 冷凍燃料を取り出したときに噴出したガスを浴びて、ビヨンは手に凍傷を負ってしまいます。あーあ。
 そしてそれと同時にどういう目的か、熱管理室の扉が自動でしまってロックされてしまいます。アンディが指を突っ込んでも、彼にはアクセス権が無く開けられません。
 で、ここでこれ見よがしに温度計が画面に映ります。単位はファラド、華氏温度です。どうやら冷凍燃料はくだんの真空パックの中身を冷凍保存するのに使われていた様ですが、最初マイナス六十五度だったのがあっという間に七十五度に達します。温度上がるの早すぎ問題。ちなみに華氏でいうマイナス六十五度は摂氏マイナス五十八度、華氏七十五度は摂氏で言うと二十度ちょいです。
 パッキングされていたアレはすぐに解凍されて動き出し、真空パックを突き破って飛び出したアレは次々と水の中へと飛び込んで泳ぎ出しました。 

 他方、射出された冷凍睡眠装置を回収した女性陣は男連中が閉じ込められているのに気づいて、妊娠中のケイを残して救出のために宇宙ステーションへと踏み込みます。冷凍睡眠装置を回収したあと別なエアロックにドッキングしていたためにすぐにビヨンがアンディ相手にイキってた部屋に到着しました。
 レインはそこに倒れていたアンドロイドからモジュールチップを回収してアンディに組み込むことで、そのアンドロイドのアクセス権をアンディに移譲させることを考案します。
 女性たちが熱管理室に戻り、わずかに開いた隙間からモジュールチップを手渡すと、タイラーはそれを受け取ってアンディに組み込みました。途端に上を向いて白目を剥くアンディ。
 再起動中に、なにかが足に絡みついてビヨンが転倒します。なにかいるという警告もむなしく、水中を泳いでいたアレはふたりの男たちに襲いかかりました。
 もちろん、アレとはフェイスハガーです。

 ここで疑問。
 フェイスハガーは両手で数えきれないくらい山ほどいるのですが、この宇宙ステーションにいた連中はどうやってこれだけの数のフェイスハガーを得たのか?
 エイリアンは真社会性生物、つまり産卵を行う一匹の女王を頂点として食料の調達や巣の防衛を行う無数の兵隊からなる生物群です。
 冒頭で回収されたビッグチャップはあくまでも兵隊の一個体で、女王ではありません。女王を捕らえて産卵させなければあれだけの数のフェイスハガーを得ることは出来ませんし、そもそも一匹始末するのも大変なのにあれだけの数のフェイスハガーを捕らえて冷凍保存する、それも強酸性の体液を浴びないためには一切傷つけられないという条件の中で実行するのは至難の業です。
 孤立すると兵隊が女王になるのかもしれませんが、卵も女王も一切登場しませんでした。
 考えられる可能性としては1リアンのディレクターズカット版にあった、人間が直接卵に変化させられる描写ですかね。でもチェストバスターに胸部をぶち抜かれた死体が山ほど出てくるんだよね。
 それに人間を卵に変化させると、フェイスハガーを寄生させる生贄がいなくなります。たぶんここらへんが人間卵化計画の設定がオミットされた理由だと思うんですが、真空パックされてた大量のフェイスハガーのほかにそれに取りつかれて殺された人間と成体エイリアンも大量に出てくるので、現場にいた人間たちは卵ではなくチェストバスターの苗床にされたと考えるべきです。となると、やっぱりフェイスハガーの出所がわからない。
 4ではフェイスハガーを取りつかせるための生贄として犯罪者を数人用意してましたが、卵に変化させるための生贄を別に用意してたとか? でもあの数だと十や二十じゃ到底足りないんだよなあ。そもそもそんなことまでビッグチャップを回収した連中が知ってるとも思えないし。
 腰から下が無くなったアンドロイドが後から話したところによるとビッグチャップの遺伝子から複製したそうですが、そもそもエイリアンエッグもフェイスハガーもチェストバスターも全部別の生物なんですよねえ。エッグはエッグの、フェイスハガーはフェイスハガーの、チェストバスターはチェストバスターの、それぞれ別のDNAを持ってると思うんですが、チェストバスター(=エイリアン)の遺伝子からフェイスハガーやエッグを復元出来るものなんでしょうか。

 それはともかく、顔に張りつこうとしているフェイスハガーを自力で引き剥がしているあたり、彼らはよくやっていると言えるでしょう。
 ようやく再起動したアンディはそれまでのぼんやりした様子が嘘の様に、跳躍したフェイスハガーの尻尾を掴んで振り回し、壁に叩きつけます。そのあと彼らは脱出に成功しましたが、フェイスハガーの数が多すぎて扉はぶち破られてしまいます。
 アンドロイドの上半身がある部屋まで戻り、なんとかフェイスハガーを締め出すことには成功しましたが、その過程でナヴァロが顔に張りつかれてしまいました。

 アンディは情報を得るために、倒れていたアンドロイドの再起動を試みます。
 アンドロイドの名はルーク。ルークはナヴァロを見て、もう助からないから置いて逃げろと一同に告げます。ビヨンが拒否すると、なら一思いに殺せと。
 オチが読めている視聴者の立場からすればルークの意見にまったく同感なのですが、本人たちはそうもいきません。それも拒否するビヨンに、レインが冷凍ガス銃で冷凍ガスを浴びせて首に巻きついたフェイスハガーの尻尾を緩め、引き剥がすことを提案します。
 果たしてフェイスハガーを引き剥がすことには成功しましたが、めっちゃ長い挿入管が喉から引っ張り出されてきました。なんかやらしいっていうか、これ胸の中央なんて長さじゃないと思う。
 安堵する一同に、ルークはすでに寄生されている確率は六割だと告げます。ただこれまでの例を見る限りだと寄生を終えたフェイスハガーは死んでいたので、引き剥がされたあとまだ活動していたことを鑑みれば寄生に失敗していてもおかしくはありません。まあ、もちろん六割どころではないんですが。
 ところで本作ではフェイスハガーの尻尾の横のちょうちょの羽みたいな形した部分が膨張と収縮を繰り返しており、肺の内部に空気を送り込んで窒息を避けているという描写には説得力が――ねえよ。管長すぎだってば。肺どころか胃袋通り越して腸まで届くよあれじゃ。なによりあんな長い管、フェイスハガーの胴体のどこに収まってたんだ。
 とはいえ、酸素を送り込んで寄生対象を殺さずに維持するあたり、たしかに好気性生物によって作り出されたんだという後付け設定にも納得できる部分はありますね。呼吸をする生物に寄生することを前提に生態が成り立ってるわけですから。
 
 ところでアンディはレインの亡父が拾ってきて修理し、レインの利益を優先するようにプログラムされたアンドロイドなのですが、モジュールを組み込まれた影響でWY社の利益のために行動する様に行動原理を書き換えられてしまいました。あの手この手でナヴァロをレムス内にとどめようとするのですが、ビヨンはアンディをスタンロッドで吹き飛ばしたあとナヴァロを連れて宇宙船へと走り去ってしまいます。ここでモジュールを取りはずしておけばねえ。
 ナヴァロは――案の定――宇宙船の操縦席で苦しみ悶え、心配して出てきたケイの眼前でチェストバスターに胸部を突き破られて惨死。そのときに操縦桿を蹴飛ばしたために宇宙船は急発進、ステーションの構造物に接触してロムルス側のドックに入り込んで停止します。
 このときの衝撃で回転軸がずれ、ステーションはジャクソン星の外周のアステロイドベルト(小惑星帯)に向かってゆっくりと降下を始めます。タイムリミットは四十七分。

 と、あらすじはこの程度にして。
 原点回帰を目指した本作は突っ込みどころもありますが、閉鎖空間で襲われる恐怖の演出はなかなかいい出来でした。
 脱皮後のエイリアンの成長と変態の過程もきちんと描かれています。
 また、貨物宇宙船がロムルス側のドックに突っ込んで停止したあと、ケイはなんとかレインやタイラーと合流を試みるのですが、ケイを助け出そうとレインやタイラーが扉を開けるのをエイリアンが待っている描写があり、人間がそこを破壊出来ないと理解したうえで環境調整の核である酸素生成装置の内部で営巣していた2リアン、機械の操作や施設構造の利用を中心に高い知能を見せた4リアンとはまた方向性の異なる形で高い知能を持つという描写もはっきりなされています。
 フェイスハガーは温度変化や音を頼りに得物を識別するため、室温を上げてから音を立てずに移動することでスルーしようとする発想と緊張感もよかった。

 なお初代エイリアンから二十年後の本作ではリプリーさんは絶賛宇宙を漂流中なため、本作作中には登場しません。
 なのにエイリアンと戦ったことをルークが知っていた。それが第二の謎。

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