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【思ってた以上にずっときつい】恋愛がテーマの作品って大変なんだなあ。

 最近仕事が変わって多忙になり、更新が滞っております。ボル子です。

 よく車を運転するのでその最中にNosferatu Bloodや修学旅行ryのネタを考えたりするんですが――ライの初恋の話を思いついてしまいました。

 もとはと言えばライの親戚ネタを考えてたんです。
 彼の家は農家の蝦夷龍華、会津藩士だったご先祖様が新撰組とかと一緒に北海道に逃げてきて、五稜郭も追われて新政府軍から逃げてる最中に農民に匿われてそのまま身を隠す意味で農民に身を窶した彼の実家と、戦闘中に重傷を負って戦線離脱したご先祖様の兄が明治維新のほとぼりが冷めたころに東京に出て呉服問屋を始めて成功した江戸龍華に分かれています。
 本来の家名は『りょうげ』といって、明治維新後は戸籍上『たちばな』を名乗っていますがどちらの家の人々も一族全体をひっくるめて自分たちを呼ぶときは『りょうげ』という読みを使います。

 龍華の祖先は先述したとおり会津藩士で、会津の松平家に仕えていた一族です。
 もともとは三河で暮らしていた猟師がその開祖で、弓の技量を見込まれて松平に仕官し、家臣の末席として家名を与えられたのが始まりです。それが最終的には会津藩士として会津松平家に仕えることになりました。
 ライの実家が農民なのに柳生心眼流とか伝わってるのはその名残ですね。
 江戸と蝦夷両方の家に道場があって、ザ・武道一家です。居合やってる人とか柔術やってる人とかいっぱいいますが、本来の家伝の武芸は柳生心眼流柔術ではなく弓術です。

 戊辰戦争には龍華平太郎義匡(よしただ)と平次郎禎匡(さだまさ)という双子の兄弟が、幕府方として参戦していました。
 すでに近代の様式の戦に変わっていた戊辰戦争ですが、龍華の兄弟の最大の特徴は黒塗りの弓と炭を塗りたくって反射を抑えた矢を使って長弓による狙撃を行っていたことです。
 当時はすでに大量のライフルが持ち込まれており、飛び道具=銃という認識だったため、逆に物陰に隠れて銃声のしない弓で行われる狙撃というのは新政府軍にとって深刻な脅威でした。銃声にまぎれて矢の風斬り音なんてほとんど聞こえませんからね。
 兄の平太郎が戦闘中負傷で戦線を離脱し藩主であった松平喜徳が明治元年に新政府軍に降伏したのちも平次郎は抵抗を続ける官軍とともに戦線を移動しながら戦い続け、新撰組などとともに五稜郭へと籠城します。最終的には五稜郭も陥落し、さらに逃げ延びた先で行き倒れ、のちに妻になる農民の娘に発見されてその家族に匿われることになります。
 五稜郭に逃げ延びた蝦夷龍華の祖先を新政府軍が執拗に追い回していたのは、兄を凌ぐ弓の名手であった彼の所属部隊と交戦した新政府軍の部隊指揮官が片っ端から殺られたからです。

 現在の江戸龍華・蝦夷龍華は龍華流と呼び習わしている弓術をひそかに伝来する家で、黒染めの稽古着を身に着けて黒塗りの弓矢を遣い好んで夜間・荒天に稽古をし、的も木々の隙間に甲冑を設置するというスタイルの道場が東京と北海道の両方にあります。
 柔術に限定して武術を修めているのは敵の最接近を受けたときに刀を抜くのが間に合わないからで、つまり弓をその場に投げ棄ててそのまま状況に即応するためです。
 福島にあった屋敷はそのまま東京に移設されており、時折ここで『りょうげ』を名乗るための継承の儀式が行われています。戸籍上の姓ではなく技術の継承者としての龍華ですが。陸奥とか不破の圓明流が継承者しかその姓を名乗らないのと似た様なものです。もちろん戸籍上は、継承者でなくてもそれぞれの姓を名乗るべきなのですが。
 儀式そのものは本人の志願によって任意のタイミングで行われるため、まったく行われない年もあれば数回行われる年もあります。ただしライと同年代の親族の中で『龍華』になっているのは、ライが異世界に飛ばされた時点ではライだけです。彼が継承の儀を済ませたのは十一歳のときで、これは龍華の歴史上最年少です。
 なお継承の儀は生涯に一回こっきり、落第したら二度と受けられません。流派の戦技の極意を現場の判断で会得させる目的から儀式の内容も実際にその場に臨むまでは知らされず、合格不合格にかかわらず儀式の内容を他人に話すことは禁じられており――儀式を受けていない者に情報が漏れるのを防ぐためです――、かつては違反すると厳しい罰がありました。
 当時は落第すると一生半人前扱いだったのですが、さすがに現代においてはそんなことはありません。ただ儀式の内容が経験者にしかわからないので、儀式の合格者が新しい世代に出ないまま旧世代の年長者が全員死んじゃったら有名無実化することでしょう。ライ日本にいないし。

 ちなみに龍華雷という名前は構想だけ考えてたONIGOROSHI(おにごろし)という小説の主人公の名前の使い回しですが、龍華でたちばなという読みはがっつり漢和辞典に載ってました。
 橘の異形で、龍華をりゅうげと読むべきところをどっかの坊さんがそう読んだ結果生まれた明治新姓のひとつだそうです。
 明治維新から数年たったころ、国民全部に戸籍管理上姓を附与するという発想で苗字必称義務令が発布されました。朝鮮半島併合の際にやった創氏改名のうち、創氏だけを日本国内でやったわけです。
 その結果苗字がわんさか増えた時期があるんですが、その時期に加わった苗字のひとつです。
 字面自体はりゅうげさんちですでにあるんですが、たちばなという読みで新しく追加されたわけですね。
 龍華で検索したら嫁が龍華をたちばなと読んでて冷めた別れたいという様な記事がYahoo知恵袋で載っており、りゅうげという返答がベストアンサーに選ばれていたのですが、その漢和辞典にはりゅうげとかそうげのほうが載ってなかったぞ? あとむしろそれ、嫁のほうがそんなくだらんことでマウント取りたいボケ亭主に手っ取り早く冷やそうと冷凍庫に放り込んだあとそれを忘れて一晩放置したスーパードライのごとくキンッキンに冷めまくってんじゃね? 内容液の膨張で破裂した缶みたく、嫁さんの堪忍袋が冷めたついでに破裂してそう。

 なおりゅうげというのは東海地方に少数ある姓だそうですが、雷の家の龍華(りょうげ)姓はその祖先よりさらに前のご先祖様の体に龍の顔に似た痣があったこと、猟師だった初代の名前が辰巳であったこと、その力龍のごとく弓の業華やかなりということから松平家の当主から賜った名前で、りゅうげとかそうげ、あるいは八尾市の一部地域の地名とは由来が異なり、家紋も龍と弓矢をモチーフにしたものです。そこ、竜の紋章とか言わない。
 また痣はジョースター家的に遺伝するもので、龍華の一族はみんな同じ痣があります。

 ……と、こじつけが終わったところで。

 ちなみにママンの実家は中国人排斥法で追い出された中国人の代わりにカリフォルニアに入植してセントラル・バレーを農地化した日本人移民の末裔で、ライやその弟妹には五分の三アングロサクソンの血が入っています。ママンは黒髪に目の色だけ緑色の女性ですが、ライも瞳は緑がかっているのですね。その兄弟姉妹、ライにとっては伯(叔)父や伯(叔)母といった人々の半分くらいはまんまアングロサクソンな見た目です。
 入植した本人である曾祖父は移民後しばらくして戦争が始まり農地も財産も取り上げられて強制収容所に送られ、一緒に強制収容所に入れられたアメリカ人の妻や子供たちのために米軍の日本人部隊である第442連隊戦闘団に参加しました。
 欧州戦線で狙撃手として活躍、時にはゲリラ戦を戦い抜き、戦後には再び農地を取り戻して家族とともに暮らしています。ちなみにそのときの上官とは今でもつきあいがあり、デルタ部隊に所属する孫がおとんの友人なので、ライも多少の面識があります。カリフォルニアに遊びに行ったときに顔を出すとライと穣に「おまえのとこの曾祖父さんはニンジャ・ウォリアーだった」と語る老人です。
 あとその孫がママンの妹さんと結婚してるので、現在では正式に親族です。
 なお、英語で曾祖父のことをグレート・グランド・ファザーというのですが、本人が日本語を普通に話せるのでグレグランパとか呼んだりはしません。
 ママン本人は入植した曾祖父の兄の息子夫婦(純日本人)の希望で日本に養子に出されたのですが、彼女が十代半ばのときにその夫婦が事故で亡くなり、その後しばらくたってから自力で生活を成り立たせるために自衛隊に入りました。その職場の宴会でおとんに出会ったわけです。

 ライたち兄弟は父の知人や母方の親族たちと会話するために、英語はペラッペラです。フランス語・ドイツ語・イタリア語など北半球の主要な言語も、通訳が可能なレベルでいけます。
 兄弟ともに中国語・朝鮮語・ロシア語もいけますが、これは拷問や尋問を楽に行うためのもので、命令書や暗号表を読める様に読み書きも出来ます。最強の兵士の条件のひとつ、『敵の言葉が理解出来ること』ってやつですね。
 南は敵じゃない? あの小汚いドブネズミどもが敵じゃなかった時期など、戦後四分の三世紀の間一瞬たりともありませんがなにか? どこの世界に漁民を捕えて人質にして政治犯の釈放を要求する友好国があんのよ。
 なおライという呼び名はあずまという名前を巧く発音出来ない英語圏在住の親族や外国語圏の知人たちに呼ばせるために本人が自分で言い出したもので、彼はアメリカ・イギリス・ドイツ・フランスなど複数の国の特殊作戦部隊に来歴を持つ父の友人たちからライと呼ばれています。ちなみに穣はジョーです。

 作品としてのライという名前の由来はガンジュー・ライ、マット・リンの『Death.inc(死の会社)』シリーズに登場していたグルカ兵です。もうログアウトしちゃったけど。
 グルカ兵の血統も入れてみたかったけど、無理があるのであきらめました。だってほら、ヴィシュヌ・シュレスタさんの武勇伝見たら男も男に惚れますよ?

 206話でちょっと触れた、ライが横転事故を起こしたバスから救援を求めに吹雪の中に出ていく話、アレを絡めてライの初恋と失恋のエピソードがどんどん膨らんでいってます。
 でもこれやると、当時十四歳のライにとっては悲しい思い出にしかならないんですよねえ……基本的に過去話っていうのは、始まる前から結果が見えてますからね。ライにとっては初恋の話=そっくりそのまま失恋の話なわけで。
 実際異世界に飛ばされる時点、五ヶ月後の龍華雷に恋人はいないわけで。あと大人たちの無神経さが非難の対象になりそうな予感。
 正直手をつけたとしても、戦闘シーン以外は見るべきところが特に無い俺の技量できちんと描き切れるかどうかが不安です。登場キャラの科白をいくらか書き出してみただけできついきつい。
 こっぱずかしいという意味ではなくて、書いてるのがつらいです。

 そんで前にちょっと触れた龍華穣が主人公のバイオハザード的ホラー、これをやっちゃうとあっちは出来なくなりますね。
 ホラーのほうはヒロインも主人公も全員死んじゃうので、それじゃライに救いが無さ過ぎる。
 あと穣と不破康一郎が異世界に飛ばされてくるアナザーエピローグ、これもアウトです。

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