なんかもーものっそい勢いで作者注の分量が増えてる気がしますよ。
あんまり蘊蓄臭くしたいわけではないんですが、かといってこういう小説本文以外の記事で解説もしたくないんです。それってつまり作品中以外で必要な情報を補完しないとなにが起こってるかわかんないってことですし、最終的にはそれだけ読んだら理解出来るものでありたいので。
要は書き手としてヘボだということなのですが、アルカードが知る由も無いことを彼の視点で長々と説明するわけにもいきません。
あと百年くらい経ったころからのアルカードは俄然博識になるのですが、この時点ではそうではないので。
カノン砲のごう音(佐賀市)佐賀の音100選
https://www.youtube.com/watch?v=h94phF6Be94 まあそれはそれとして、大砲のお話。
作中でも説明したとおり、大砲には機械式撃発装置を備えたものは十九世紀まで登場しませんでした。複雑で故障も多い機械式撃発装置よりも、点火棒を手で確実に突っ込むという確実性が評価されたこと、コスト面などが理由でしょう。
なにより機械式撃発装置が故障すると、大砲の場合は戦力ダウンが半端無いので。
現代の日本だと二十四ポンドのカノン砲が佐賀市に現存していて、十二月半ばの反射炉祭りとか新年カウントダウンのときに佐賀神社の前で試射をするんですよ。
といっても実戦でそうする様にタッチ・ホールから熱した棒を突っ込むわけじゃなくて、火縄を突っ込んでそれに火をつける形で点火していました。
これでは点火から撃発までに時間差が生じるので実戦では役に立ちませんから、単に安全上の理由なんでしょうね。
タッチ・ホールから煙が噴き出しているのが確認出来ますが、おそらく弾込めを行った実弾射撃であればもっと派手に煙が噴き出すでしょう(空砲だそうです)。煙というか、圧力のかかった発射ガスが炎と一緒に噴き出すと思います。
これは自衛隊入隊時、前期教育で最初に銃を持ったときのことですが、空砲での射撃訓練をしたことがあるんです。そのときの教官のデモンストレーションで、週刊のほうの少年雑誌、ジャンプだかサンデーだかマガジンだかはたまたチャンピオンだったか、それは覚えてませんが――とにかく銃口の前に雑誌を置いて発砲したら、発射ガスの圧力だけで雑誌を貫通してました。たぶん銃口を指でふさいで撃発したら、指が無くなると思います。
おそらくタッチ・ホールから噴き出してきた発射ガスも洒落にならない威力があると思いますので、着火棒は直接体にガスが当たらないL字型のものが主流だったろうと考えてそれに倣いました。
同じく空砲であるため、動画のカノン砲は撃発時に大砲が動いてません。
でも今思うと、修羅の刻の雑賀孫一さんは早盒で銃をとっかえひっかえして次々撃ってたけど、火皿の火薬はどうしてたんだろう?
描かれてないだけで弾込めした後で火皿に火薬を入れてたんだろうか。