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投稿報告(と追記しようか悩んだ補足)です

お疲れ様です。B3QPです。カクヨムでは2作目、「グリーゼ12bの夏」を昨日公開しました。犀川よう様の自主企画、さいかわ葉月賞応募作です。

https://kakuyomu.jp/works/16818093082736476400

前回、さいかわ水無月賞では、専門外の江戸時代・電磁気学・漢詩・大阪弁を用いた歴史小説を投稿し、少し無理をしたと反省していたのですが、性懲りもなく今回も、2024年5月23日に発表された天文学の新論文と宇宙工学関係の論文を参照したSFを投稿してしまいました。再び専門外の分野ですので、誤りがあればご指摘ください。

前作も、ある意味ではSFでして、「江戸時代の電磁気学は数理的公式を見出すに至らなかったが、もしその現場に和算を極めた天才少年がいたらどうだったか」という架空の科学史を書いたつもりでした。ただ、その出発点からして説明不足でしたし、タイトルからして、プロメテウスの神話と語源を知らないとその含意が通じないものでした。それで反省したといえば反省したのですが……僕はやはりそういう背伸びをしたがる芸風なのです。

今回はジャンルが「SF」なので、前作以上にターゲット層が狭いかもしれません。宇宙SFや天文学の用語だけでなく、未必の故意(法学)、正統性(社会学)、律音階(音楽理論)、散種(デリダ哲学)などを説明なく記載し、末尾にはAPA7フォーマットのリファレンスにDOI・arXivのリンクをつけました。「倭文」という苗字が織物を扱う家系であること、「倭文遥」という名前に日本語が遠くまで届くという含意があること、宇宙センターの「種子島」と種子をかけていること、「鍵屋」という苗字であるがゆえに玉屋と叫んだこと、参考文献で1000人規模とされているところをダンバー数を意識して250人規模の集落にしていることなどは、分かる人が分かればそれでいいのです。

しかし、お題が「夏」だと言っているのに、冒頭一文目から「夏は来ない」と断言してしまいました。申し訳ございません。

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続いて、少し言い訳のような補足です。(※作品内容のネタバレを含みます)

主人公はなぜ人工授精されそうになったのか、そして、主人公たち二人がなぜ留置場からあっさりと解放されたのか、作中では説明されておらず、やや筋が通らないようにも思えます。その理由を、主人公が男性に口説かれながら曖昧に考察しているのですが、その箇所をより厳密に追記すべきか一日悩みました。

解釈の一つは、AIには出航後に船内の人口を増やす動機があったということです。主人公は異性の誘いを断って通報した上、人を攻撃する可能性がある火薬を無許可で保持しているため、人口増加の観点では減点です。このため人工授精を施されそうになった。しかし、二人がカップルになりそうだとAIに判断されたために解放された。そう考えると二人がお咎め無しであることの説明がつきます。

そのように補記しようとしたのですが、それを書いてしまうと、主人公は「自分には出産しない選択肢はない」と判断した上で男の誘いを受けたことになり、人類の自由意思よりもAIに支配された側面が強調されてしまいます。

このままなら、警備ロボットは警察ではないので法律に従って誰かを罰したりせず割と適当なのだ、とも読めるし、この後で二人は警備ロボットに取り囲まれて大変なことになるのかも、とも想像できます。いずれにせよ、人類に未来が委ねられているという印象が強まるかと思います。

いや、既に訂正版の原稿はありまして、差し替えるべきかまだ悩んではいるのですが、やはり、既に読者様の評価のついた作品の印象を変える書き換えは好ましくありませんし、企画のレギュレーションでも投稿後の変更は限定的であるべきとされていますので。

(書いていて、こうやって近況ノートで補足するのもズルい気がしてきました。通常の公募であれば、言い訳の機会など与えられないものです。でも、改稿すべきかどうか、とても悩んだのです。審査員の皆様は、補足説明を無視して作品自体でご判断いただけるものと思います……。)

ということで、投稿後一日が経過したことですし、この作品も既に打ち上げられたものとして、その受容は偶然性に委ねていきたいと思います。

ではでは。

2件のコメント

  • 近況ノートで筆者の意図する解釈や文中に込められた(見落とされているかもしれない)意味を聞けるのって良いですね。単行本のあとがきを読んでいるような気分になりました♪
  • >遊馬さん
    こういうのは、書いていいか難しいですよね。なんか自分語りみたいだし、作品の解釈を固定してしまうし、企画賞では特に書きにくいです。言いたいことは沢山あるので、コメントのお返事で、そこはこういう意図だった、とかお返事するのは積極的にやりますが、聞かれていないのに自分から説明するのは、特に最近は避けてました。ノベプラの創作日記も個人的な背景を書きすぎて、今は非公開になっています。読んで楽しかったならよかったです。
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