カクヨムではお久しぶりです。B3QPです。犀川よう様の自主企画に参加させていただきました。
「声を封じる」
https://kakuyomu.jp/works/16818093090045219889
まず最初に、この作品はフィクションです。僕も、僕の家族も元気です。
年の瀬ということで、今年の締めくくりとなるような作品を目指しました。思い返してみると、小説を書くことの比重が自分の中で徐々に大きくなった一年でした。後半にはそのせいで少し調子を崩し、私生活でやるべきことができないこともありました。自戒を込め、その徴候を誇張したような短編としたつもりです。
ジャンルは、最初「ミステリー」にするべきか悩みましたが、「現代ドラマ」を選択しました。信頼できない語り手の叙述があり、その内実が別視点から説明されるという構造がミステリー的だとも思ったのですが、そのジャンルを宣言することで、謎解きとして読まれてしまうことは避けたかったです。後半の告白は、ミステリーにおける解答編ではなく、それも一人称の叙述であり、「本当のこと」として提示しているつもりはありません。
当作の主人公は架空の人物ですが、僕に少し似ています。毎月一つずつ小説を執筆し、この作品が今年十二作目であるという部分は、僕と全く同じです(僕の場合、七作がノベルアッププラス、三作がカクヨム、一作がノクターンノベルズでの公開で、一作は非公開の公募でした)。また、主人公のピルケースの中身も、僕には親しみのある薬たちです。
作中では、特定企業の商品名を記載しないために、製品名ではなく一般名(正確には~塩酸塩と記載すべきものもあります)での記述としました。以下に、作中表記に対応する製品名を記載します。
抗精神病薬
・スルピリド ドグマチール
・リスペリドン リスパダール
・フルフェナジンマレイン酸塩 フルメジン
・アリピプラゾール エビリファイ
抗不安薬
・ジアゼパム セルシン
ADHD治療薬
・アトモキセチン ストラテラ
・メチルフェニデート コンサータ
・グアンファシン インチュニブ
ED治療薬
・タダラフィル シアリス
この話の主人公はADHDと統合失調症の治療を受けています。僕自身にも多少はそういった傾向がありますが、そのどちらについても、確定診断を受けてはいません。フルメジンを飲んで体液が粘性を増した感覚を持ったことや、アトモキセチンでEDになったことなどは過去の実体験ですが、メチルフェニデート徐放剤を砕いて飲んだことや、激昂して人を殴ったことはありません。僕は年金を納め、保険に入り、会社で働き、子供を育てています。そのような人は、他にも大勢いると思います。
要するにこの短編は、僕と似た人物が、創作活動に没頭しすぎて病状を悪化させ、加害者となった姿を描いたものです。僕自身、弱気ないじめられっ子のつもりではありますが、暴力についてのニュースを見る時、自分が加害者側にも被害者側にも回りうることに自覚的でいたいとも思っています。当作の「誇張」は、そんな意図のつもりでした。同時に、カクヨムコンで本気の競争をしている方々に向けて、生活を犠牲にしないよう呼びかけているつもりかもしれません。
でも、その誇張の意図が伝わったとして、それは、読者の方にどのような印象を与えるでしょうか。そのような誇張が冒涜的で不快だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような想像を発表すること自体が、僕自身の狂気と暴力を示していると思われるかもしれません。あるいは、これが書かれなかったとしても、僕の印象は変わらないままでしょうか。
普通であれば、このような露悪的な作品にはあまり感想はいただけないものだと思います。しかし、今回、感想を書いていただける企画ということで、その企画に甘えさせていただきました。あとは、段落の長い文章をもう少し読みやすくすることも必要だと思っています。前より読みやすくなったでしょうか。
長くなりましたが、最後に、今年一年、関わってくれた皆様にお礼を言わせてください。Xや他サイトではまだ発信する予定ですが、カクヨムへの投稿はこれが今年最後かと思います。僕の拙く読みにくい文章を読んでいただいた皆様、本当にありがとうございました。
作品内の末尾とは反するご挨拶で、この近況ノートを終わります。来年もどうぞ、よろしくお願いいたします。