こんにちは。いつも大変お世話になっております。
すこし気が早いですが、『飛鳥』第一部「太陽の少女」の改稿が終わりましたので、改めて後書き(という名の言い訳)を書こうと思います。
第一部は12歳頃に書き始めましたので、20代に入って書き直したとは言え、かなり拙いものでした。改稿中に何度か夜逃げしたくなりましたが、なんとか通読に耐えられる内容になったかなぁ、と思っています。
全ページに修正が入り、削ったエピソード、新たに書いた話もあります。後半は元の文章は三割程度しか残りませんでしたので、新作に近いと考えています。
第二部は、20代に書いた話が基になります。内容的に第一部と繋がっていますが、ストーリーラインが岐れ、クロスカットを入れながら進行するため、ここで区切りを入れています。ご了承下さい(3月5日から連載開始します)。
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このシリーズは(執筆期間が長過ぎたせいもありますが)、書き手にとっては身近過ぎて、棄て去ることが出来ないのです。
主要登場人物には実在のモデルがいます。彼ら(彼女ら)の会話を、そのまま採用した場面があります。
恋愛や心理的な葛藤など、私たちが実際に経験したことに基づきます。
……↑は、表現者の多くがそうではないかと思われるかもしれませんが。人様を楽しませると言うより、書き手自身の精神的昇華作用を目指して書いてきたものでーーかなり個人的な内容になります。
異世界ファンタジーの体裁を採ったのは、これを現代日本に置き換えると、生々しすぎて(私が)正視に耐えないからです。
実は、かなり精神医学的、医療的なテーマを扱っています。
第一部と第二部の主題は、「アイデンティティの確立」です。ここで一旦区切ります(何て十代なテーマだ…)。
第三部〜第五部では、「記憶と人格の関係」「遺伝性疾患と障害の受容」「死へ至る人間の心理過程」「延命と尊厳死の問題」が登場します。
第六部と最終部では、「紛争と殺人の心理」「虐待と心的外傷後ストレス障害(PTSD)」「自然災害と人的災害」「進化と環境への適応(淘汰)」を扱いました。
問題の解決や明快な解答をめざした訳ではありません。私たちが現実に直面したこれらの問題に対して、心理的な葛藤をどうにかするために書き続けてきました。
私自身の専門は精神医学とは少し違いますが(認知神経科学、高次脳機能の領域です)、臨床心理学と遺伝学の知識を動員しています。
……などと難しい理屈を書きましたが。私自身、こういう物語の創り方に疲れ果てて、今シリーズ後の作品(『掌の宇宙』『EARTH FANG』シリーズ)では、心理的な検討を一切入れずに書くようになりました。
「いやあ、若かったな、自分……」と、苦笑しながら改稿しています。
基本的には、素人の小説もどき、ですので。今では、人様の楽しみになればいいな……と考えています。
無駄に長い作品ですが、お付き合いいただければ幸いです。