《デンマーク、グリーンランド・イヌイット》
グリーンランドは、デンマークの自治領です。面積は217万5600km2。ほぼ全土が北極圏に位置しています。
オーロラは、「オーロラ帯」と呼ばれる北緯65~70度の地域で発生率が高く、グリーンランドの南部があたります。オーロラの語源はギリシャ神話の光の女神(アウロラ)、北欧神話ではワルキューレの甲冑の輝きだと言われています。アラスカやカナダのネイティヴ・ピープルは、ものを変える力をもつグレート・スピリット(神)だと考えています。
北極~亜北極圏に住む先住民族は、かつては「エスキモー」と呼ばれていました。(元はモンタニャ族の言葉に始まり、フランス語のEsquimauxを通じて、今日の言葉になったそうです。)これは、「生肉を喰らう人々」という侮蔑を含んだ言葉であり、土地の住人の間では、嫌われています。彼等が生のアザラシや魚を食べることには、ビタミンを摂取するという(医学的に証明された)重要な意義があり、その行為に敬意を払わない文化に暮らす人々の偏見を示唆していると考えられるからです。
今日では、東部カナダ北極圏のネイティヴ・ピープルのことは「イヌイット」、ベーリング海峡地域は「ヤップィク」、アラスカ北方斜面に住む人々は「イヌピアット」、マッケンジー・デルタ地域の人々は「イヌヴィアルイト」と呼ばれています。
言語は多様ですが、アラスカのシーウォード半島から北極圏・カナダを経てケベックとラブラドールの海岸からグリーンランドに至る地域では、イヌイット―イヌピアック語の方言が使われているそうです。
■イッカク Monodon monoceros
北極圏に住むクジラの一種です。体長は4~5m、雄は長さ3mにも達する捻れた一本の牙(左の切歯)を持つことで有名です。(まれに、二本の牙を持つ雄もいます。)5頭~10頭の群れをつくって生活します。体の色は青白く、茶色の斑点があり、首・頭・むなびれや尾の縁は黒くなっています。
グリーンランドのイヌイットは、銛を使った伝統的な狩猟を行います。イヌイットによる捕鯨は、法的に認められています。
(本作品は、イッカクの牙の由来を伝えるイヌイットの民話に基づきます。ここでは、老婆自身がイッカクとなり、攀じれた髪が牙になったということですが、銛に掴まった女性がベルーガに包まれ、銛が牙になった、などのバリエーションがあります。)