• 現代ドラマ
  • 現代ファンタジー

Traeumerei~第14楽章~

かの作品は去年、小説家になろうの公式企画「冬の童話祭」で掲載したものです。故に、ジャンルは童話としています。
私は形のないものを形のない形で綴るのが好きです。歴史的文献よりは古事記や竹取物語といった物語が好きです。今昔物語とかもいいですよね。宗教は嫌いですけど、架空の宗教を作るのは好きですし。私ってね、変な人間なんですよ。
そんな変な私が描いた女主人公の物語が「Traeumerei~第14楽章~」です。いちいち表記するのが面倒なので、「トロイメライ」と表記しますね。
トロイメライは「流れ星」という当時の冬童話のテーマに沿って描いた物語です。流れ星、所謂隕石が落ちてくるのを私は中学の頃だったか……「星の死」と表現したのですよ。たぶん中学の頃ですね。人が死ぬことについてよく考える科学の苦手な私が、星が落ちることを「星が死ぬ」ことだと考えて、それをテーマに世界観や詩を書くのがマイブームだった時期がありました。
十数年の時を経て、私が考えた星が死ぬ話がトロイメライでした。
トロイメライって子守唄の一種なんですよね。子守唄全般のことは「ララバイ」っていうらしいんですけど、私はトロイメライの方が語感が優しいし、女性的で好きです。
私が弟の死にトラウマを抱えている話はどこかでしたと思います。だからずっと、死が側にあることを忘れないように、弟のことを忘れないように、物語を書いて、いつも物語で人が死にます。
「お前、これ童話だよな?」というのは何度も何度も言われました。童話だって、人は死にます。まあ、童話は子ども向けなので、人の死はさらっと描かれるんですけど。
私は童話を書くとき、アンデルセンのようなファンタジーと、イソップ物語のような教訓性を大切にしています。だから愚かな主人公や愚かな人々を愚かに書き、破滅させます。だから、普通の童話よりか、残酷性があると思います。
まあ、「本当は怖いグリム童話」とかいう本もあるので。
私はトロイメライに私の考える「童話」というものについてを詰め込みました。読んだ皆さまはお気づきになられたでしょうか。何故、この物語のタイトルが「第14楽章」なのか、何故、この物語がタイトルで締め括られているのか。この物語のタイトルに私が込めた意味。皆さまには伝わりましたでしょうか。
私はシェロのことが好きで、シェロのように生きたい。けれど、実際はアイシアのような無関心をもって、自分自身さえ損なうような人間です。
トロイメライのような優しい子守唄が、私に安眠をもたらしてくれたらいいのに。星光が次々落ちて、星がたくさん滅ぶついでに、この星も死んでしまったらいいのに。
そんな叶わない願いから零れ落ちたのが、トロイメライという物語です。
時折、何故この数字なのか、というタイトルをつけることがあるのですが、私は感覚でタイトルをつけるタイプなので、特に意味がなかったりします。「第14楽章」も14という数字自体にはあまり意味がありません。14話で完結させるのが冬童話開催期間中に連載するのにちょうどいいくらいだろう、という目算で、こういうタイトルにしました。
なろうの冬童話は一ヶ月弱くらいなので、まあ、やっぱり14話くらいがちょうどいいですね。
けれどたぶん……彼女らの物語がそれくらいの長さだと気づいていたのかもしれません。
新しい世界に辿り着いたシェロが穏やかに、自らの生を語り継いでいく。それがこの物語の最終目標ですから。
彼女らの長くて途方もないような、それでいて文庫本にもなりやしないくらいの物語を私は愛おしいと思います。
彼女らに、おやすみなさい、お疲れさま、と労いを込めて、このノートを綴っています。
この思いが安息の子守唄になりますように

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する